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右文書院 編集部
◎教科名:国語
科目名 | : | 古典講読 |
履修学年 | : | 2または3年 |
単位数 | : | 2単位(70時間) |
使用教科書名 | : | 新編古典講読 |
物語・小説(伊勢物語・源氏物語・大鏡・日本永代蔵・雨月物語) | ||
評論(古今和歌集仮名序・無名草子・笈の小文・源氏物語玉の小櫛) | ||
漢詩・思想 | ||
史伝 | ||
発行者 | : | 右文書院 |
略称・記号 | : | 142 講読016 |
判型・総ページ数 | : | A5・176ページ |
【教科書・教材の採択評価】
イ 表現・内容のわかりやすさロ 語彙・文法・知識 レベル
ハ 表現・言語活動
ニ 図表・写真などの使いやすさ
※ 各項目5段階評価による総合的判断
【教科書の構成について、特に配慮してある点】
- 古文編・漢文編ともに「物語・小説」「評論」(古文編)、「漢詩・思想」「史伝」(漢文編)単元を設けて、作品教材の難易に配慮しながらそれぞれ構成してあるので、 無理なく古典学習が展開できるよう工夫されている。全体として、第一学年での教材に比べると、内容がより論理的で深く思考させる教材が採り上げられており、 教材量も多く、その組み合わせ方などによっては、多彩な授業展開も可能である。
- 自学自習の妨げにならない程度において、適切な注を施し、【学習の手引き】を配してあり、教材理解の手助けとなる写真・図版も多い。
- 脚注形式の注釈はおおむね適切であり、辞書を引けばわかる語句などは省略してあって、生徒の自主的学習に委ねるのと方針が垣間見える。
- 古典文法の概要は作品の読解に即して行う、という基本姿勢がうかがえ、各教材ごとに、古文編・漢文編ともに、注意すべき文法・語法事項が*を付して適宜取り上げられている。 また古文編では重要古語が教材末尾に枠囲みで記してある。
- 作品としてまとまった分量があり、単に教材を寄せ集めたというのでなく、それぞれの作品の要となる部分を取り上げて編集してあり、 例えば『源氏物語』を確かに読んだという、手応えのある教科書に仕上がっている。
- 漢字のあて方、送り仮名、句読点の付け方、改行の仕方などで、底本との異同が散見するが、妥当と思われる範囲のものであり、 読み仮名の施し方なども含め、表記については配慮の跡が見られる。
◎教科到達目標(学習指導要領)
- 古典としての古文を読むことによって、我が国の文化と伝統に対する関心を深め、生涯にわたって古典に親しむ態度を育てる。
- 日本文化の特質や日本文化と中国文化との関係について考えるとともに、古典への興味・関心を喚起させるために、古典という言語文化を正しく継承し、それを現代に生かす態度を育てる。
- 情報化・国際化などの社会の変化に対応するために、目的や意図、相手や立場に応じて、国語を的確に理解し適切に表現する能力の涵養を図るとともに、ものの見方、感じ方、考え方を広くし、古典に親しむことによって人生を豊かにする態度を育てる。
- 総合的な科目であり、第一学年より高次な内容の教科書という点を念頭におきながら、(古文編)では中古の「物語」近世の「小説」を学び、 (漢文編)では「漢詩・思想」を学んで、古典全般に対する親しみを深め、ついで「評論」「史伝」をそれぞれまとまった形で学習することを目標として、次の諸点に留意した。
- 古典としての古文・漢文の学習を通して、ものの見方・感じ方・考え方を広げ豊かにする。
- 生徒の実生活を十分に考慮し、親しみのもてる作品を学ぶ。
- 古文・漢文教材間の有機的な連関に注意して学習する。
- 自国や外国(中国)の古典文学に触れて、物事を見る視点を拡げ、ものの見方・感じ方を深めるとともに、個人としての人間性をも高めるようにする。
◎学習内容(単元・教材名)
- 学期 1(4~7月)・2(9~12月)・3(1~2月)
- 単位・時数 2単位・70時間
- 古文教材について
-
「物語」単元(28時間)の教材について
高等学校第二学年以降の教材としてふさわしいもの、より高次な内容を有し、論理的思考を要求するもの、古文に対する興味・関心を持続させ、 当代の人々のものの考え方・捉え方(=思想)に迫りうるものを選んで構成されている。
「伊勢物語」から五編、「源氏物語」では六編、「大鏡」から七編採られている。 「伊勢物語」では、歌物語の特色、和歌(主題)と散文(主題説明)が融合して独特の物語空間を創出している点が理解できる構成になっている。 「源氏物語」では、光源氏と彼を取りまく主要女性を中心とした構成になっており、物語の全体像が把握できるよう、 「源氏物語」とはこういうものであるという筋の流れにも配慮に怠りがない。「大鏡」では、歴史物語とは、史実を踏まえながらも、 叙述目的に沿って、話を面白可笑しくするための工夫、誇張や虚構(フィクション)が施されている点を踏まえ、 叙述目的の一つである藤原道長の人物像とその栄華に関する描写を中心に配列・構成されている。
- 繰り返し音読し、読みに慣れる。
- 各段の要約をまとめる。
- 語句の意味を綿密に調べる。
- 歴史的仮名遣いに注目し、解説に基づきながら、その主な特徴を把握する。
- 現代語にはない古語を指摘し、辞典でそれぞれの意味を調べ、本文に適した意味を捉える。
- 会話の応酬やストーリーの展開について整理する目を養い、登場人物の心理や感情を理解する。
- それぞれの作品について、印象の深かった箇所を抜き出す。
-
「小説」単元(4時間)について
小説では、「日本永代蔵」「雨月物語」からそれぞれ一編ずつ採られている。 近世という時代を背景に生まれた、町人の成功譚や怪異現象を題材にしたこれらの小説は、 当代人の感覚や意識を感得させるのに適した教材と言えよう。
- 読解を着実に行い、作品それぞれの内容を的確に把握する。
- 作品を要約しまとめる。
- 語句の意味を綿密に調べる。
- 自然や人事に対する作者・筆者の態度や考えを理解し、各人のものの見方や考え方を深める。
-
「評論」単元(8時間)について
評論では、「古今和歌集 (仮名序)」、「無名草子」「笈の小文」「源氏物語玉の小櫛」からそれぞれ一編ずつ採られている。 古典評論は、わが古人(いにしえびと)が文芸というものをどのように捉えていたかを学ぶことに重点が置かれおり、 古人の文芸観やその批評精神に触れることで古典に対する興味・関心が育まれるだけでなく、広い視野に立ってものごとを多角的に見る眼も養え、 自己確立の過程においてその人間性をより豊かなものにする方途ともなりえよう。
- 各教材の読解を着実に行い、それぞれの内容を的確に把握する。
- 各教材の要約をまとめる。
- 語句の意味を綿密に調べる。
- 各教材の中心となる論点や結論を導くまでの論理性などに着目して理解を深め、テーマを決めて評論文を書いて発表する。
- 現代語にはない古語について、辞典などで意味を調べ、本文に適した意味を捉える。
- 読解を正確に行い、要約し、それぞれの内容を的確に把握する。
- 特に印象の深かった作品や箇所について、自分の考えや意見をまとめ、クラスなどで積極的に発表する。
- 優れた表現や構成の巧みさを指摘するとともに、登場人物の言動を通して、会話文や話題の展開について整理する目を養い、彼らの心理や感情、考え方を理解してまとめる。
- 作者・筆者の叙述目的を指摘し、どのような目的に添って描かれたものか指摘する。
- 作者・筆者の、自然観照眼や人間観察・描写の仕方の特色やその優れた点を、本文や文献を参考にして指摘し、彼らの考え方や思想・心情について、自分の意見や考えをまとめ、発表する。
- 基本的には史実に忠実な歴史書と、史実を踏まえながらもあくまでも虚構(フィクション)である歴史物語との違いに注目する。
- 古典評論と現代の文芸評論について比較検討し、特に印象に残った古典評論について、意見文を書いて発表する。
- 「俳論」教材から実作の要点をまとめ、俳句を作ってクラスで発表し相互批評する。
- 既習の古典作品の中から、評論してみたいものを選んで評論文を書き、発表する。
- 大学入試などにも出題される作品が多いので、本文以外にも目を通しておく。
- 漢文教材について
-
「漢詩」単元(9時間)について
代表的な名作が、〔絶句〕〔律詩〕〔古詩〕に分けて配列してある。 漢詩の黄金時代ともいうべき唐代に活躍した詩人の作品から、絶句五編・律詩四編、古詩二編が選定してある。 自然描写のすぐれたもの、中国の自然や中国人の生活感情を如実に表現したもの、日本人にも広く親しまれているもの、 学習者が親しみやすいものという、選定・構成の主旨が垣間見える。 - 五言絶句・七言絶句について、その整然とした表現構成に注意し、正しく訓読して詩の持つ語調とその美しさを感得する。
- 絶句では「起承転結」の構成、特に「転」句の特色に注意する。
- 律詩では対句の美しさを味わう。
- 古詩の押韻を確かめる。(巻末付録「漢詩(近体詩)のきまり」などを参照する。)
-
「思想」単元(9時間)について
思想関係の教材として『論語・孟子・老子・荘子・韓非子』から適宜教材化されている。
「論語」六編、「孟子」一編が採られ、参考として「荀子」が掲げてある。「老子」「荘子」「韓非子」から各一編ずつ採られている。 - 繰り返し音読して、漢文の訓読に慣れる。
- 書き下し文を利用して、漢文訓読の原則や送り仮名・返り点などについて理解する。
- 漢文訓読の原則、再読文字を始めとする重要単語、主な句法などについて、基礎知識を蓄積してゆく。
-
「史伝」単元(12時間)について
『十八史略・史記・日本外史』から適宜教材化されている。
「十八史略」から一編が、「史記」から二編、「日本外史」から一編が採られている。 - 繰り返し音読して、漢文の訓読に慣れる。
- 書き下し文を利用して、漢文訓読の原則や送り仮名・返り点などについて理解する。
- 漢文訓読の原則、再読文字を始めとする重要単語、主な句法などについて、基礎知識を蓄積してゆく。
- 繰り返し音読して、漢文の訓読に慣れるようにする。
- 書き下し文を利用して、漢文訓読の原則や送り仮名・返り点などについて理解する。
- 漢文訓読の原則、再読文字を始めとする重要単語、主な句法などについて、基礎知識を蓄積してゆく。
- 故事成語が生まれた由来を学習して、その一般的な意味を正しく捉える。
- 故事成語について関心を持ち、出典や語義について積極的に調べてみる。
- 格言・成句を用いて短文を作る練習を行い言語生活を豊かにするよう心がける。
- 故事成語のうち日常の会話にも出てくるものは、使いこなせるようにする。
- 五言絶句・七言絶句について、その整然とした表現構成に注意し、正しく訓読して詩の持つ語調とその美しさを感得する。
- 絶句では「起承転結」の構成、特に「転」句の特色に注意し、律詩では対句の美しさを味わう。
- 押韻を確かめる。
- 古典(古文・漢文)導入期にあっては、授業が教授者の一方通行になりがちであり、朗読テープやスライドを活用して、その弊を軽減すると同時に、 学習者の興味・関心が持続するような工夫を様々に凝らされたい。
- 朗読・話し合い・感想文・課題レポート提出等の言語活動
- インターネットの活用
- 資料の活用(学校図書室の利用)
- 視聴覚教材(スライドなど)の活用(視聴覚室の利用)
- ※ 回数、学期・月などは、学校個々の事情に合わせて、適宜お書き込み願います。
- 教科書はもちろん、副教材・視聴覚教材等を活用し、さらにはインターネット検索や学校図書館の資料等の活用して、積極的に学習する。
- 授業では必要に応じて板書やプリント配布などをするので、それらを活用するためにも、なるべく科目ごとのノートやファイルとじ等を用意すること。
- 古文を学ぶ上では、言語的・視覚的な感覚が要求されるので、常に学習の各場面で、古語辞典・図表便覧等を携行、参照する。
- レポート提出や発表においては、自分の考え・意見をまとめ、それが表現できるよう心がけて学習する。なお、レポートの課題や参考資料等について相談等あれば、教科担当者に尋ねること。
- 関心・意欲・態度
- 思考力・判断力
- 資料活用の技能・表現力
- 知識・理解
- 学習進度確認小テスト(月毎)
- 中間考査・期末考査等の結果
- レポート(ノート)・小論文等の分析、授業中・話し合い等での行動観察等を踏まえて、教科会での複数の教授者による総合的・客観的評価を期されたい。
- 授業への取り組み、レポート、定期考査等を中心に上記評価基準Aの観点によって、総合的に評価する。
- 古文は漢文の影響を受けていてそのつながりは深く、古文作品・教材は互いに関連し影響しあっているので、その関係に留意して学習させる。 また、学習の評価は、定期考査に加え、レポートへの取り組み姿勢や朗読・課題発表等に対しても行う。 特に、自分なりの考えをまとめ、それを書いたり発表できるかなどを総合的に勘案して判断する。
●学習活動
●学習活動
●学習活動
●古文の全般的な学習活動
《古文編》
単元・教材名 | 内容 | 学習のねらい | 学習活動 | 到達目標 |
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物語 | ||||
伊勢物語 一 初冠 二 関守 三 梓弓 四 渚の院 五 小野の雪 |
中古中世和文の代表的物語文学・歌物語であり、教材毎に話が完結する短編で、古典の素養として必須の人物(在原業平)、 「源氏物語」にも影響を与男の一代記的な構成で、惟喬親王との心の交流、男女の愛のあり様を綴った作品。 |
男女の間の心情と詠まれた歌との関係を把握させる。 不遇な境遇にある親王と業平・有平らが交遊する様子を捉え、風雅の精神について理解させる。 挿入句・心内文・補助語の省略に注目させ、二重敬語と動作主との関係に気づかせる。 |
文章の構成や展開を把握し、主題を的確に捉える。 和歌と散文が融合した表現の妙を読み味わい、歌物語の特色を理解する。 「男」の元服のときの「みやび」を理解する。 二条の后への恋が、どう描かれているか、読み取る。 |
伝奇的な架空の世界にのみ向いていた目(作り物語)を、現実の生活や人間の真実へ向けさせた点で、 わが国の物語の形成発展の上で重要な史的意義をもつ歌物語の最初の作品に触れる。 |
源氏物語 光源氏の生誕(桐壺) 廃院の怪(夕顔) 雀慕ふ少女(若紫) 須磨の秋(須磨) 病める紫の上 (御法) 返りごとせぬ浮舟 (夢の浮橋) |
中古和文の代表的物語文学で、古典の素養として必須の人物(光源氏)が登場し、長編作り物語の流れが追える作品。 「夕顔」光源氏と夕顔との出会い。 「若紫」後の紫の上となる少女との運命的な出逢い。 「御法」紫の上最後の場面。 「夢の浮橋」源氏亡き後の子・孫世代の物語。 |
古語に関する力を養正しく読解できるように、標準的な語彙や文法の知識を身につけさせる。 光源氏の生誕のいきさつ、母更衣、桐壺帝、後に紫の上となる若紫との出会いなどを把握させる。 長編物語の、登場人物相互の関係、時間の推移、場面の転換、事後への伏線などについて確認させる。 作り物語特有の用語・表現、主人公の眼で捉えた視点描写などの、表現技巧についての関心を高めさせる。 |
重要語・古今異義語などを重点的に把握し、その語の持つ意味と、その場面における用法を確認する。 挿入句・心内文・補助語の省略などに注目し、二重敬語とその動作主との関係などを確認する。 独特の文章構成、文の構造、敬語による登場人物の遇し方を感得する。 光源氏の成長と、長編物語としての展開について興味・関心をもつ。 |
わが国古典文芸の最高峰、五十四帖におよぶ長編『源氏物語』にふれて、作者の文芸意識の高さを認識する。 物語(小説)を鑑賞することの面白さ・楽しさを実感する。 『源氏物語』独特の文章構成、文の構造、また敬語による登場人物の遇し方について感得する。 主人公光源氏の成長と併せて、長編物語としての内容の展開について追跡する姿勢を養う。 登場人物の性格描写・心理描写の一方に、夕顔・須磨・御法に見られる自然描写についても注目する。 |
大鏡 一 雲林院にて 二 花山院の出家 三 筑紫の道真 四 宣耀殿の女御 五 隆家と道長 (言語活動教材) 六 競射 七 女院と道長 |
藤原道長と彼を中心にした出来事を素材とした、語り物の特性の顕著な物語文学。 紀伝体の歴史物語であることが読みとれる作品。 |
歴史物語特有の文章の構成や用語について感得し、語り手の意図を理解させる。 物語の発端や権勢家道長の大物ぶりを多面 的に事例に即して理解させる。 作者の創作意図を明確にするための誇張や話を面白可笑しくするための虚構などを読みとらせる。 |
登場する人物について、系図を活用して確認させ、性格や人柄、境遇や生き方等についても整理する。 各登場人物に対する語り手の紹介の姿勢や評価等を通じて批評の眼を養う。 『大鏡』に見られる歴史物語特有の文章の構成や用語について感得し、語り手の意図を読み取る。 権勢家道長の大物ぶりを多面的に事例に即し理解する。 個々の本紀・列伝を通して、摂関政治の実態や貴族生活の概要についても理解する。 |
語り手の「き」「けり」の使い分けや敬意差を設けた語り方などについて確認する。 権勢のための策謀や争闘、また不遇な人・豪気の人・多能の人・優雅な人の具体的な生き方を確認する。 |
小説 | ||||
日本永代蔵 一 世界の借大将 |
近世という時代の特徴としての経済生活のさまざまな様相を、町人の金銭心理に絡ませて描いた作品。 | その副題に「大福新長者帳」とあるように勤勉・節約・才知によって富を得た町人の成功譚を通して、その金銭感覚を感得させる。 |
主人公藤市の徹底した姿勢に当時の風俗世相を読みとる。 藤市の勤勉・節約・才知の具体的事例を列挙整理する。 |
心情や考え方における、現代人との異同について考え、意見を書いて、発表する。 |
雨月物語 一 浅茅が宿 |
近世という時代の文学的情操の反映としての怪異現象を通して、人間性の真実を描いた作品。 |
妻が亡霊となって現れるという怪異現象を通して、人間の純粋な心情を感得させる。 近世という時代を背景に生まれた小説から、当代人の感覚や意識を感得させる。 |
亡霊となって現れる妻の、女としての悲しい性を描いた話である。怪異現象を通して、人間の純粋な心情を読みとる。 妻の宮城が夫の勝四郎に語る言葉とその辞世の歌にこめられた、その心情について理解する。 |
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評論 | ||||
古今和歌集序 一 やまと歌は |
和歌の本質と起源について論じたもの。 | 和歌文学論の「仮名序」に見られる、和歌の本質と起源についての考え方を理解させたい。 |
語句や文章のもつ意義を、具体的なはたらきに照らして取り立てて確認する。 『古事記』に載せられている記事や『万葉集から引かれた歌についてそれぞれ確認する。 |
千年前の筆者の文芸意識が現代でも遜色ないことを確認する。 |
無名草子 一 紫式部と 『源氏物語』 |
『源氏物語』成立後の、後世におけるその享受のされ方の一端をうかがい知りうる資料。 | 二人の女房による会話文である点を踏まえて、敬語の使い方に注意させて、内容を理解させる。 |
紫式部に対する敬迎表現を確認する。 「はべり」の用法を理解する。 |
二つの『源氏』成立論を読み取る。 |
笈の小文 発端 |
芭蕉の紀行文の中でも、彼の芸術観・俳諧観が端的に顕れた作品。 | 芭蕉の芸術宣言、俳諧に対する信念の表出である点を理解させる。 |
芸術を追求させる内なる何かについて考える。 漢文調のリズムに親しめるよう、繰り返し音読する。 |
「人また妄聴せよ」という芭蕉の心境について考察し、その真意を確認する。 |
源氏物語玉の小櫛 「もののあはれ」 といふこと |
日本文学の理念としての「もののあはれ」を、『源氏物語』を精読して説いた評論。 | 分析的・論理的な文章を読解して、「もののあはれ」の本質を理解させる。 | 分析的、具体的な論旨を把握する。 | 「もののあはれ」の本義を理解する。 |
●学習活動
●学習活動
●学習活動
●学習活動
《漢文編》
単元・教材名 | 内容 | 学習のねらい | 学習活動 | 到達目標 |
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漢詩 | ||||
【絶句】 鹿柴(王維) 秋風引(劉禹錫) 楓橋夜泊(張継) 早発白帝城 (李白) 芙蓉楼送辛漸 (王昌齢) |
わが国でも古来より広く愛誦されている有名な作品。 絶句五首 律詩三首 古詩二首 |
五言絶句・七言絶句について、その整然とした表現構成に注目させ、正しく訓読して詩のもつ語調とその美しさを感得させる。 |
以下の着眼点に留意して学習する。 ・鹿柴―「詩中に画有り」といった静寂さ。 ・秋風引―旅人の孤独な心情。 ・楓橋夜泊―名勝の地に宿る作者の旅愁。 ・早発白帝城―長江の急流の船足の速さ。 ・芙蓉楼送辛漸―作者の孤高の精神。 |
絶句・律詩では、漢詩のきまり(体裁・押韻・対句)を復習し,古詩では、自由な形式のもとでの素朴な味わいを鑑賞する。 |
【律詩】 過故人荘(孟浩然) 登高(杜甫) 咸陽城東楼(許渾) |
五言律詩・七言律詩では、対句などの表現構成に注意させるとともに、絶句と合わせて近体詩の概要を理解させる。 四言古詩・雑言古詩の代表的な作品を通して古体詩の概要を把握させる。 それぞれの詩について、繰り返し音読し、情景をふまえた的確な現代語訳ができるようにする。 自然描写・心理描写の巧みな箇所について具体的に指摘する。 特に好きな詩を暗誦し、発表する。 四句なら絶句、八句なら律詩、その他は古詩、というように、詩形の識別ができるようにする。 絶句・律詩が唐代に成立した近体詩であること、古詩は唐以後も作られていることを確認する。 押韻・対句などについても一通り確認しておく。 |
過故人荘―のどかな農村のスケッチ楓な描写。 登高―流浪の果ての詩聖の晩年の嘆き。 咸陽城東楼―悠久の自然の中で往時を偲ぶ懐古の情。 |
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【古詩】 勅勒歌(古詩賞析) 責子(陶潜) |
勅勒歌―異民族の描いた草原の風景の爽快さ塞外の風景の見事な描写。 責子―父親の、子どもたちへの慈愛あふれる眼差し。作者の人柄や作品に潜むユーモアやペーソス。 |
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思想 | ||||
【論語】 孔子 (為政)(述而) (子罕)(衛霊公) (顔淵)(季氏) 【孟子】 四端(孟軻) 《参考》性悪 (荀況「荀子」) 【老子】 無用之用(老たん) 【荘子】 夢為胡蝶 【韓非子】 二人説(韓非) |
中国の中心的な思想である儒家。論語から六章。内容が明快で日常生活で用いられている熟語や成句のもとになっている、親しみのもてるもの。 部屋でも茶碗でも、その空間にこそ価値がある」という、儒家とは正反対に位置するの老荘思想。 韓非子の、法治主義や信賞必罰を旨とする法家思想。 |
孔子の学問・人生に対する態度やその厳しさに着目させ、生徒の日常の学習や生活態度と比べて考察させる。 孔子の思想を継承発展させた孟子の、性善説に関する考え方を理解させる。 本性に関して孟子と真っ向から対立する荀子「性悪」を通して、両者の考え方の違いを理解させる。 道家思想の一端を理解させる。 法家の韓非子の、厳しい人間観察にも目を向けさせる。韓非は荀子の弟子であり、荀子の「性悪」も法家思想との関連で理解させる。 孔子の政治・人生に対する態度に着目し、現代人の日常や生活態度と比べて考えてみる。 「論語」の中から日常用いられている諺慣用句の類を探してみる。 孟子の思想、特にその性善説を学ぶ。 同じ儒家ながら孟子と対立する荀子の性悪説を学ぶ。 道家の祖といわれる老子の柔弱の哲学、またその理想郷を描いた「小国寡民」に触れる 相対的な考えを断ち切って絶対自由の世界に遊ぶ荘周の境地を窺う。 荀子の性悪説を継承してさらに冷厳な思想をうち建てた法家韓非子の一端に触れてみる。 |
孔子の修養・学問・教育・政治などに対する考え方を、グループごとに探求し発表する。 孟子の思想、特にその性善説を学ぶ。 同じ儒家ながら孟子対立する荀子の性悪説を学ぶ。 儒家とは正反対の老子の思想を受け継ぎ、相対的な考えを断ち切って絶対自由の世界に遊ぶ荘子の境地を学ぶ。 荀子の性悪説を継承してさらに冷厳な思想をうち建てた法家の韓非子の思想に触れる。 性善・性悪の二説について自由に討論してみる。その際二説の優劣は問題外でよい。 道家の思想については、身辺の卑近な実例や老子・荘子の他の章の句や比喩を調べてみる。 韓非子には他にも多くの興味深い小話があることを確認する。 |
漢文の訓読に慣れ、句法を正しく理解するとともに、各章句の 要旨を的確とらえる。 「論語」が 儒教の原典あることを確認する。 「述而・子罕」篇など 見られる孔の厳しさとともに、「衛霊公」篇などから窺える孔子の人間味を味わう。 儒教思想以外の、中国の古代思想についての理解を深める。 |
史伝 | ||||
荊軻入秦 (曾先之 「十八史略」) |
室町時代の末期に渡来して以来、漢籍への入門書、中国の歴史を知るための初学者用の格好の教科書としての「十八史略」。 | 「荊軻入秦」では、男として知遇に応えるため秦王政の暗殺に赴く荊軻の悲壮な覚悟を読み取らせる。 |
荊軻が秦王暗殺のために立てた冷静緻密な策略を理解する。 荊軻の詠んだ歌に込められた悲壮な覚悟を読み取る。荊軻の暗殺を成功させるため、自刎する樊於期の鬼気迫る心情を理解する。 |
中国の歴史書についての理解を深める。 春秋・戦国時代から秦・漢に至る中国史の概要について、年表などによって知識を整理する。 |
鴻門之会 四面楚歌 (司馬遷「史記」) |
「史記」は、単に史実を記すだけでなく、登場人物の性格や運命を活写している。 |
項羽と劉邦、二人の英雄の争いの後半部から、単に史実だけでなく、登場人物の性格や運命について、読み取らせる。 項羽や劉邦の性格については、「史記」の文中にさりげなく描写されているものに注目する。 項羽の垓下の詩は七言古詩。絶句ではない。絶句は唐代になって生まれた。 絶句は唐代になって生まれた。 |
漢楚の興亡を学ぶとともに、作者司馬遷の文学的描写を味わう。 登場人物を分担して朗読してみると、臨場感があってより理解を深める。 小話の面白さ、登場人物の性格を考える。 再読文字・置き字・重要単語 ・基本句形など漢文訓読の基礎知識を復習する。 |
「史記」に含まれる「使役・受身・否定・疑問・反語・仮定・限定・願望・詠嘆・抑揚」などの句形を確認し、文法の力を養う。 「史記・司馬遷」についてあらましを確認する。 「鴻門之会」「四面楚歌」では、漢・楚の興亡の史実を学ぶとともに、作者司馬遷の文学的描写を味わう。 特に魅力を感じた部分があれば、それについて話し合ってみる。 |
【日本漢文】 所争在弓箭不在米塩 (頼山陽 「日本外史」) |
「日本外史」中の有名な一話。 | 古来よりの武士道を誇りとする上杉謙信の逸話を、日本漢文を通して学び、わが国の漢文についても関心・興味をもたせる。 |
日本古来の武士道について学ぶ。 上杉謙信について調べる。 この逸話についての感想文を書く。 |
日本漢文はあまり読まれていないが、面白い作品も多いので、この機会に読んでみる。 |
◎全般的な学習活動
◎学習方法
◎学習上の留意点(生徒への注意事項)
◎評価ポイント(観点・重点)
評価規準(方法)A(学習者の科目対応能力)◎評価方法について
《古文編》
学期 | 時間 | 単元名 | 教材名 | 評基A | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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《漢文編》
学期 | 時間 | 単元名 | 教材名 | 評基A | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●付録
一 動詞活用表
二 形容詞・形容動詞活用表
三 古語敬語動詞
四 古語助動詞活用表
五 古語助詞一覧表
六 五十音図、月の異名、時刻・方位・十二支
七 内裏略図、清涼殿略図
八 漢文のきまり
九 漢詩(近体詩)のきまり
表見返し(2色刷り) 大内裏略図 京都付近図
裏見返し(2色刷り) 漢文関係地図