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    平成18年度  古典017  シラバス(年間授業計画案)
※各シラバスは、御校の事情にあわせて、適宜加工していただいて結構です。
※ご利用は小社教科書ご採用校の先生方に限らせていただき、シラバス作成以外のご利用はご遠慮願います。
㈱右文書院 編集部

◎教科名:国語

科目名:古典

履修学年:2~3年

単位数:4単位(140時間)

使用教科書名:古典

発行者:右文書院

略称・記号:142 古典017

判型・総ページ数:A5・312ページ


【教科書・教材の採択評価】

イ 表現・内容のわかりやすさ

ロ 語彙・文法・知識 レベル

ハ 表現・言語活動

ニ 図表・写真などの使いやすさ

※各項目5段階評価による総合的判断(教科書採択調査資料として)


【教科書の構成について、特に配慮してある点】

  1. 第二、第三学年での使用に対応できるよう、二部構成になっている。
  2. 長めの教材が多く、物語性や論理展開、情緒や意識の流れを追うのに適している。また、短文でも話題に首尾一貫性のあるものが多い。
  3. 作品としてまとまった分量があり、単に教材を寄せ集めたというのでなく、それぞれの作品の要となる部分を取り上げて編集してあり、例えば『源氏物語』を確かに読んだという、手応えのある教科書に仕上がっている。
  4. 漢字のあて方、送り仮名、句読点の付け方、改行の仕方などで、底本との異同が散見するが、妥当と思われる範囲のものであり、読み仮名の施し方なども含め、表記については配慮の跡が見られる。
  5. 注釈は脚注形式によっており、注解もおおむね適切であり、辞書を引けばわかる語句などは省略してあって、生徒の自主的学習に委ねるのと方針が垣間見える。
  6. 古典文法の概要は作品の読解に即して行う、という基本姿勢がうかがえ、各教材ごとに注意すべき文法・語法事項が*を付して適宜取り上げられている。
  7. 本文の理解に役立ち、学習意欲を喚起するようなカラー口絵や写真・図版が多く配置されており、巻末には「付録」として、文法諸表のほか、日本古典文学関係年表、漢文のきまり、漢文関係年表、大内裏図、内裏略図、清涼殿略図などが、見返しにも2色刷りの旧国名・都道府県名対照地図・漢文関係地図が掲載してある。

◎教科到達目標(学習指導要領)

  1. 古典としての古文と漢文を読むことによって、我が国の文化と伝統に対する関心を深め、生涯にわたって古典に親しむ態度を育てる。
  2. 日本文化の特質や日本文化と中国文化との関係について考えるとともに、古典への興味・関心を喚起させるために、古典という言語文化を正しく継承し、それを現代に生かす態度を育てる。
  3. 文章や作品の表現上の特色を理解し、優れた表現に親しむとともに、それらに表された人間、社会、自然などに対する思想や感情を読み取り、ものの見方、感じ方、考え方を豊かにすることによって、国語を的確に理解し適切に表現する能力の涵養を図り、古典に親しむことによって人生を豊かにする態度を育てる。
  4. 「古文や漢文の調子を味わいながら、音読、朗読、暗唱をする」などの言語活動を通した指導を行う。
  5. 情報化・国際化などの社会の変化に対応するために、目的や意図、相手や立場に応じて、国語を的確に理解し適切に表現する能力の涵養を図るとともに、ものの見方、感じ方、考え方を広くし、古典に親しむことによって人生を豊かにする態度を育てる。

  1. 自国や外国(中国)の古典文学に触れて、物事を見る視点を拡げ、ものの見方・感じ方を深めるとともに、個人としての人間性をも高めるようにする。
  2. 自学自習の妨げにならない程度において、適切な注が施され、 学習の手引きとして【研究】を配してあり、表現学習や言語活動についての配慮や教材理解の手助けとなる写真・図版なども多く配してあるので、これらを大いに活用して学習する。

◎学習内容(単元・教材名)

学期 1(4~7月)・2(9~12月)・3(1~2月)[2年次・〈第一部〉を履修]

学期 1(4~7月)・2(9~12月)・3(1~2月)[3年次・〈第二部〉を履修]

単位・時数 4単位・140時間(2年次・〈第一部〉2.3単位(82時間)、3年次・〈第二部〉1.7単位(58時間))


  1. 古文教材について
  2. 二部に構成された関係で、ほぼすべての単元が分割構成されており、第一部が比較的易しく短めの教材を、第二部が長めで歯ごたえのある教材を中心に配列してあり、「源氏物語」(一)が第一部に、(二)が第二部に配してある。

    冒頭単元説話(一)では、「十訓抄」から二編、「古今著聞集」から一編が採られている。導入教材としての視点から見ると、内容は易しいが、古文の特色を意識した教材採取と言えよう。 説話(二)では、「古事記」「宇治拾遺物語」から読み応えのある一編がそれぞれ採られている。概して、当代の世態・人情に迫ることができ、現代との比較などが行いやすい教材が多い。

    物語(一)では、「伊勢物語」から五編、「源氏物語」(一)では二編、「平家物語」から二編が採られている。 物語(二)では、「源氏物語」(二)「大鏡」からそれぞれ四編ずつ採られている。 「伊勢物語」では、歌物語の特色、和歌(主題)と散文(主題説明)が融合して独特の物語空間を創出している点が理解できる構成になっている。 「源氏物語」では、光源氏と彼を取りまく主要女性を中心とした構成になっており、物語の全体像が把握できるよう、「源氏物語」とはこういうものであるという筋の流れにも配慮に怠りがない。 「大鏡」では、歴史物語とは、史実を踏まえながらも、叙述目的に沿って、話を面白可笑しくするための工夫、誇張や虚構(フィクション)が施されている点を踏まえ、 叙述目的の一つである藤原道長の人物像とその栄華に関する描写を中心に配列・構成されている。なお、「平家物語」「一 祇園精舎」は「言語活動教材」である。

    随筆(一)では、「徒然草」からは〔人生随想〕を中心に八編、「方丈記」から二編が採られている。 随筆(二)は、「枕草子」で構成されており、類集的諸段いわゆる〔ものづくし〕〔宮廷生活〕 (終段「この草子」を含む)など七編が採られている。「三 ありがたきもの」は「言語活動教材」である。「徒然草」では、その全体像が把握できるものを中心に、登場する人物関係が明瞭で、 筆者の主張が明らかであり、人生についての思索、生き方についての批評などを綴った章段で、「枕草子」では、自然、人間生活、社会生活についての清少納言の鋭い観察眼と巧みな描写とが味わえ、 筆者の人間像がうかがい知れる、「ものづくし」といわれる類聚的な章段、宮廷生活の体験を回想して記した日記・回想録的な章段、自然や人事に関する随想的な章段で、それぞれ構成されている。 「方丈記」では、対句を駆使した流麗な文体で無常観を描写した冒頭部分と、臨場感あふれる「安元の大火」が選定されている。

    日記・紀行(一)では、「土佐日記」「更級日記」「奥の細道」からそれぞれ三編ずつ採られている。 日記(二)では、「蜻蛉日記」「和泉式部日記」「紫式部日記」からそれぞれ一編ずつ採られている。

    第一部、和歌 歌謡 俳諧では、万葉集・古今和歌集・新古今和歌集・山家集・金槐和歌集(和歌)、梁塵秘抄・閑吟集(歌謡)、 宗鑑・守武・貞徳・宗因・西鶴・芭蕉・其角・嵐雪・去来・千代女・蕪村・一茶(俳諧〔発句〕)から一首または数首ずつ採られている。

    評論(一)では、「古今和歌集 (仮名序)」、「無名草子」「去来抄」からそれぞれ一編ずつ採られている。 評論(二)では、「無名抄」「三冊子」「玉勝間」からそれぞれ一編ずつ採られている。古典評論は、わが古人(いにしえびと)が文芸というものをどのように捉えていたかを学ぶことに重点が置かれおり、 古人の文芸観やその批評精神に触れることで古典に対する興味・関心が育まれるだけでなく、広い視野に立ってものごとを多角的に見る眼も養え、 自己確立の過程においてその人間性をより豊かなものにする方途ともなりえよう。

    第二部、近世の小説では、「日本永代蔵」「雨月物語」からそれぞれ一編ずつ採られている。近世という時代を背景に生まれた、町人の成功譚や怪異現象を題材にしたこれらの小説は、 当代人の感覚や意識を感得させるのに適した教材と言えよう。


    ●全般的な学習活動
    1. 現代語にはない古語について、辞典などで意味を調べ、本文に適した意味を捉える。
    2. 読解を正確に行い、要約し、それぞれの内容を的確に把握する。
    3. 特に印象の深かった作品や箇所について、自分の考えや意見をまとめ、クラスなどで積極的に発表する。
    4. 優れた表現や構成の巧みさを指摘するとともに、登場人物の言動を通して、会話文や話題の展開について整理する目を養い、彼らの心理や感情、考え方を理解してまとめる。
    5. 作者・筆者の叙述目的を指摘し、どのような目的に添って描かれたものか指摘する。
    6. 作者・筆者の、自然観照眼や人間観察・描写の仕方の特色やその優れた点を、本文や文献を参考にして指摘し、彼らの考え方や思想・心情について、自分の意見や考えをまとめ、発表する。
    7. 基本的には史実に忠実な歴史書と、史実を踏まえながらもあくまでも虚構(フィクション)である歴史物語との違いに注目する。
    8. 古典評論と現代の文芸評論について比較検討し、特に印象に残った古典評論について、意見文を書いて発表する。
    9. 「俳論」教材から実作の要点をまとめ、俳句を作ってクラスで発表し相互批評する。
    10. 既習の古典作品の中から、評論してみたいものを選んで評論文を書き、発表する。
    11. 大学入試などにも出題される作品が多いので、本文以外にも目を通しておく。

    【古文編】
    単元・教材名 内容 学習のねらい 学習活動 到達目標
    第一部
    1  説話(一)
    十訓抄
    一 文字一つの返し
    二 笛吹きの成方と名器「大丸」

    古今著聞集
    一 刑部敦兼と、その北の方

    平易な文体で、話の内容に興味がもて、ストーリー性・ゴシップ性などの顕著な作品。

    人間生活・社会生活において人間性がうかがえる作品。

    一文字を変えただけで返歌した話の面白さに気づかせる。

    主人公の機知や才能を的確に評価し、それを話題として取り立てた当代人の価値観について確認させる。

    単に教訓説話という捉え方で終わらず、登場人物それぞれの立場に共感する姿勢を感得させる。

    和歌や才知が評価された時代意識を読み取る。

    登場人物の性格や人柄、それに対する当代人の評価について考え、整理する。

    説話の構成を分析し、複数の主題を捉える。

    説話の文体に慣れ、会話の応酬や物語の展開について整理する目を養う。

    登場人物の心理や感情を理解し、各人のものの見方や考え方を深める。

    2  物語(一)
    伊勢物語
    一 初冠
    二 芥河
    三 梓弓
    四 渚の院
    五 小野の雪

    中古中世和文の代表的物語文学・歌物語であり、教材毎に話が完結する短編で、 古典の素養として必須の人物(在原業平)、「源氏物語」にも影響を与えたとされる、 男の一代記的な構成で、惟喬親王との心の交流、男女の愛のあり様を綴った作品。

    男女の間の心情と詠まれた歌との関係を把握させる。

    不遇な境遇にある親王と業平・有平らが交遊する様子を捉え、風雅の精神について理解させる。

    挿入句・心内文・補助語の省略に注目させ、二重敬語と動作主との関係に気づかせる。

    文章の構成や展開を把握し、主題を的確に捉える。

    和歌と散文が融合した表現の妙を読み味わい、歌物語の特色を理解する。

    伝奇的な架空の世界にのみ向いていた目(作り物語)を、現実の生活や人間の真実へ向けさせた点で、 わが国の物語の形成発展の上で重要な史的意義をもつ歌物語の最初の作品に触れる。

    源氏物語(一)
    一 桐壺
    二 若紫

    中古和文の代表的物語文学で、古典の素養として必須の人物(光源氏)が登場し、長編作り物語の流れが追える作品。

    古語に関する力を養い、正しく読解できるように、標準的な語彙や文法の知識を身につけさせる。

    光源氏の生誕のいきさつ、母更衣、桐壺帝、後に紫の上となる若紫との出会いなどを把握させる。

    重要語・古今異義語などを重点的に把握し、その語の持つ意味と、その場面における用法とを確認する。

    わが国古典文芸の最高峰、五十四帖におよぶ長編『源氏物語』にふれて、作者の文芸意識の高さを認識する。

    平家物語
    一 祇園精舎
    二 忠度の都落ち

    音読・朗読教材。琵琶の伴奏を伴う「平曲」としての軍記物語。

    明快流麗な和漢混交体を音読させ、滅びゆくものの哀れを感得させる。

    冒頭を暗唱する。

    朗読テープなどで鑑賞する。

    平家一門の栄枯盛衰、新興武士層の活躍の一端を理解する。

    3  随筆(一)
    徒然草
    一 あだし野の露
    二 家居のつきづきしく
    三 雪のおもしろう降りたりし朝
    四 つれづれわぶる人は
    五 花は盛りに
    六 悲田院の堯蓮上人は
    七 世に従はん人は
    八 相模守時頼の母は

    登場する人物関係が明瞭で、筆者の主張が明らかであり、人生についての思索、生き方についての批評などの、随想・随感を綴った作品。

    無常の相を描いたもの、実在の人物(著名人)について語ったものなど。

    独特の文体や用語、筆者の思想・心情に触れさせ、思索の楽しみを味筆者の人生論・無常論・認識論等を通して、各人の死生観・処世観等の世界観を深めさせる。

    各章段、章段内について、回想伝記的文章部分と評論・論説的文章とを識別する。

    各章段の要旨をまとめる。

    無常観を説くのに用いている比喩表現を味わう。

    昔書かれた書物として読み解くだけでなく、各人の生き方をも考える契機とする。

    方丈記
    一 ゆく河の流れ
    二 安元の大火

    無常観を描写した冒頭部分。

    臨場感あふれる京の大火。

    対句を駆使した流麗な文体を読み味わわせる。

    無常観を説くのに用いている比喩表現を味わわせる。

    「安元の大火」では「平安京条坊図」「大内裏図」なども用いて、火事の広がりを確認する。

    筆者鴨長明は、どのようなことを主張したかったのか、考える。

    4  日記・紀行(一)
    土佐日記
    一 門出
    二 忘れ貝
    三 帰京

    紀貫之が土佐守(国司)としての任を終え、帰京するまでの紀行文。女性に仮託し、仮名文字で書かれている点が特色。

    仮名文字使用の意義、簡潔な表現、随所に見られるユーモア、悲喜につけての詠歌などから、日記の意義を考察させる。

    旅の様子や亡き女児に対する愛惜の情が理解させる。

    「男もすなる」の「なる」から、当時の文字に対する意識を感得し、仮名の成立について学習する。

    船旅の厳しさや所在なさ、悲しみを紛らわす会話・詠歌の契機等について整理する。

    日々の記事を書きつづる、日記の効用について考える。

    更級日記
    一 あづま路の道の果て
    二 源氏の五十余巻
    三 荻の葉

    自己の生涯を回想し、自己確認・自己批判の目的で、内面的要求のままに書き綴られた作品。

    筆者の文学少女ぶりのうかがえる回想録から、当時の書物の取り扱い方について考察させる。

    源氏の五十余巻に対する期待と入手できた喜び、それらを読む読み方などについて、現代人と比較する。

    奥の細道
    一 旅立ち
    二 白河の関
    三 立石寺

    自己の魂を見つめる自照的な姿勢をもって、旅中のでき事・見聞・感想などを述べた作品。

    俳文特有の語法に触れ、自然や人生に対する筆者の態度を理解させる。

    対句表現や古典を引用している部分などの該当例を確認する。

    旅立ちの心境、漢籍や歴史の想起など、芭蕉の旅のあり方を考察する。

    5  和歌 歌謡 俳諧・発句
    和歌
    (万葉集・古今和歌集・新古今和歌集・山家集・金槐和歌集)

    上代から中世にかけての代表的な短歌・文学史的に重要な人物の短歌など。

    上代の歌が、中古・中世には語句を変えて享受された理由を考察させる。

    歌人の個性と歌風との関係、和歌の伝統と変遷について理解させる。

    枕詞・序詞・掛詞・縁語等の、和歌の修辞を確認させる。

    上代・中古・中世の和歌を読み、歌風の変遷・素材や用語の特徴等を確認する

    文学史的に覚えておくべき人物の和歌を確認し、他の作品との関連も確認しておく。

     
    歌謡
    (梁塵秘抄・閑吟集)
     

    短詩形に関心をもたせ、実作させる。

       
    俳諧・発句
    (宗鑑・守武・
    貞徳・宗因・
    西鶴・ 芭蕉 ・
    其角・嵐雪・
    去来・千代女・
    蕪村・一茶)

    和歌から派生・成立した俳諧の推移を、文学史的にも概観できる作品。

    俳諧の成立から貞門・談林、次いで蕉門を追い、さらに中興期・末期の俳人をも網羅して、その流れを理解させる。

    季語・切れ字の確認に併せて、作句の経緯についても追跡させる。

    松永貞徳・西山宗因、松尾芭蕉、中興の与謝蕪村、末期の小林一茶について、その特徴を整理する。

    季語と季節、切れ字の品詞等、古語辞典を活用して学習する。

     
    6  評論(一)
    古今和歌集序
    一 やまと歌は

    和歌の本質と起源について論じたもの。

    和歌文学論の「仮名序」に見られる、和歌の本質と起源についての考え方を理解させたい。

    語句や文章のもつ意義を、具体的なはたらきに照らして取り立てて確認する。

    千年前の筆者の文芸意識が現代でも遜色ないことを確認する。

    無名草子
    一 いとめでたきもの
     

    「文」を「めでたくおぼゆる」理由を四箇条、書き抜かせて確認させる。

    文・文章について、自分なりの考えを整理する。

     
    去来抄
    一 先師評

    蕉風俳諧の発句について、芭蕉が心を尽くした様子を弟子の去来が書き留めたもの。

    「行く春や…」「岩鼻や…」の句について、理解の深浅や解釈の違いを整理させる。

    短い句形の中で一語がどのような重みを持つか、またそれを作者や解釈する人がどう考察したかを感じ取る。

    作品理解には深浅があり、時には作者も思い及ばぬ深い解釈がありうることを理解する。

    第二部
    1  説話(二)
    古事記
    一 須佐之男命の大蛇退治

    わが国最古の神話。

    須佐之男命の話は、具象性が高いので、神話の持つ意味について読みとらせる。

    『古事記』の記事や『万葉集』からの引用歌について確認する。

    神話「大蛇退治」の話が意味していることについて考察する。

    上代の神話伝説に触れる。

    宇治拾遺物語
    一 伴大納言応天門を焼く

    歴史上の話題の人物についての伝記であり、人物評であり、秘話性のうかがえる作品。

    伴大納言の話には、登場人物相互の対話の応酬がみごとに描かれている。

    事件の推移を的確に把握し、その真相が明らかになるまでの過程についてまとめる。

    事件の真相に対する当代人の関心や解釈について理解する。

    2  随筆(二)
    枕草子
    一 上に候らふ御猫は
    二 すさまじきもの
    三 ありがたきもの
    四 中納言参りたまひて
    五 九月ばかり、夜一夜
    六 雪のいと高う降りたるを
    七 この草子
    自然や環境、また人間や社会生活について、鋭い観察と巧みな描写がなされ、登場人物の関係を読み取るのに適した作品。 一(宮廷生活の回想)
    二・三(ものづくし・人事や社会に対する批評)
    四(宮廷生活の賛美)
    五(自然観照)
    六(宮廷生活の賛美・われぼめ譚)
    七(跋文)

    筆者の、自然美に対する美事な直観を感得し、優れた絵画的描写を味わわせる。

    作品を通してうかがえる筆者の個性について考えさせ、日記回想的章段からは宮廷生活の人間像に注目させる。

    独特の文体や用語に親しませ、自然観照や人間観察の鋭さに触れさせる。

    一・四・六の日記回想的章段では、登場人物の遇し方、機知と教養に対する評価等に注目する。

    ものづくしの文体の特徴に気づかせ、その省略語句の補充・係り結びによる強調等を確認する。

    「ものづくし」の文章を書く。

    自然や人生に対する筆者の態度や思想・心情を理解させ、ものの見方や考え方を深める。

    3  物語(二)
    源氏物語(二)
    一 夕顔
    二 葵
    三 須磨
    四 御法

    「夕顔」光源氏と夕顔との出会い

    「葵」出産間近の葵を襲う六条御息所

    「須磨」須磨流謫の秋の場面

    「御法」紫の上最後の場面。

    長編物語の、登場人物相互の関係、時間の推移、場面の転換、事後への伏線などについて確認させる。

    作り物語特有の用語・表現、主人公の眼で捉えた視点描写などの、表現技巧についての関心を高めさせる。

    独特の文章構成、文の構造、敬語による登場人物の遇し方を感得する。

    光源氏の成長と、長編物語としての展開について興味・関心をもつ。

    物語(小説)を鑑賞することの面白さ・楽しさを実感する。

    大鏡
    一 雲林院の菩提講
    二 花山院の出家
    三 三船の誉れ
    四 隆家と道長

    藤原道長と彼を中心にした出来事を素材とした、語り物の特性の顕著な物語文学。

    紀伝体の歴史物語であることが読みとれる作品。

    歴史物語特有の文章の構成や用語について感得し、語り手の意図を理解させる。

    物語の発端や権勢家道長の大物ぶりを多面的に事例に即して理解させる。

    作者の創作意図を明確にするための誇張や話を面白可笑しくするための虚構などを読みとらせる。

    登場する人物について、系図を活用して確認させ、性格や人柄、境遇や生き方等についても整理する。

    各登場人物に対する語り手の紹介の姿勢や評価等を通じて批評の眼を養う。

    4  日記(二)
    蜻蛉日記
    一 嘆きつつ

    夫との関係で苦悩し、小倉百人一首にも取られている歌を詠んだ部分。

    自らの苦悩を見つめ、描写していくことで、女流日記文学の先駆けとなった作品であることを理解させる。

    一夫多妻制・通い婚という社会的背景について理解させる。

    筆者たちの人間関係を、現代日本人のそれと比較する。

    筆者のおかれている状況をふまえて、その苦悩を読みとる。

    平安女流日記が人生の回想記であることを理解する。

    和泉式部日記
    一 薫る香に

    敦道親王との恋の道程が語り出される、その冒頭部分。

    自身の日記を三人称で書く理由、贈答歌の応酬される理由等について整理させる。

    自身の恋の道程を物語ふうに綴り、思いを託した和歌を交えた展開であることを確認させる。

    筆者の恋の道程を追跡し、その和歌に溢れる思いを味読する。

    紫式部日記
    一 土御門殿の秋

    中宮彰子が出産のため父道長の邸宅に下がっていたときの記録である冒頭部分。

    自然描写を背景に、安産祈願の諸行事の記事に基づいて、当代人の暮らしの意識を考えさせる。

    自然や環境、人間生活・社会生活について、鋭い観察と巧みな描写とがなされていることを確認する。

    5  評論(二)
    無名抄
    一 深草の里

    和歌に関する文芸理論・歌論。

    俊成が自賛歌を選んだ理由、俊恵がそれを非難した理由、俊恵が自賛歌を選んだ理由を確認させる。

    俊成の自賛歌を俊恵が非難し、みずからの自賛歌を述べた意図について考察する。

    わが国の古典評論についての認識と理解を深める。

    三冊子
    一 不易流行

    俳諧に関する文芸理論・俳論。

    「俳諧いまだ俵口をとかず」と言った芭蕉の心境と、それを聞き書きした土芳の心境とを比較させる。

    「不易」と「流行」との相互の関係を確認させ、俳諧の不易の本質について理解する。

    玉勝間
    一 兼好法師が
         詞の
         あげつらひ

    人物やその作品についての評論文として、批判精神をもって論じられている。

    宣長が兼好法師を批判する理由について整理させる。

    兼好法師への批判を通して、近世という時代を特徴づける風雅の精神を理解する。

    6近世の小説
    日本永代蔵
    一 世界の借屋大将

    近世という時代の特徴としての経済生活のさまざまな様相を、町人の金銭心理に絡ませて描いた作品。

    その副題に「大福新長者帳」とあるように、勤勉・節約・才知によって富を得た町人の成功譚を通して、その金銭感覚を感得させる。

    主人公藤市の徹底した姿勢に、当時の風俗世相を読みとる。

    藤市の勤勉・節約・才知の具体的事例を列挙、整理する。

    心情や考え方における、現代人との異同について考え、意見を書いて、発表する。

    雨月物語
    一 浅茅が宿

    近世という時代の文学的情操の反映としての怪異現象を通して、人間性の真実を描いた作品。

    妻が亡霊となって現れるという怪異現象を通して、人間の純粋な心情を感得させる。

    近世という時代を背景に生まれた小説から、当代人の感覚や意識を感得させる。

    亡霊となって現れる妻の、女としての悲しい性を描いた話である。怪異現象を通して、人間の純粋な心情を読みとる。

    妻の宮城が夫の勝四郎に語る言葉とその辞世の歌にこめられた、その心情について理解する。


  3. 漢文教材について
  4. 二部に構成された関係で、ほぼすべての単元が分割構成されており、第一部が比較的易しく短めの教材を、 第二部が長めで歯ごたえのある教材を中心に配列してある。

    冒頭単元故事・小話では、故事成語や格言など、日常生活になじみ深く、親しみをもって学習できるような 教材を選択するというねらいがうかがわれる。「朝三暮四」「漁夫利」「塞翁馬」などの故事成語を採り上げてある。 比較的短い教材であり、容易に理解できる内容である。

    文(一)では、比較的長めの、「漁父辞」「帰去来辞」「捕蛇者説」が採られている。 文(二)では、「前赤壁賦」が「赤壁」(参考)ともども採られている。また、日本漢文として「日本外史」から一編が採られている。

    漢詩(一)では、代表的な名作が、〔絶句〕〔律詩〕〔古詩〕に分けて採られている。 漢詩の黄金時代ともいうべき唐代に活躍した詩人の作品から、絶句五編・律詩三編・古詩三編が選定してある。 漢詩(二)では、「長恨歌」が省略なく採られている。参考として「源氏物語・桐壺」が掲げてある。 概して、自然描写のすぐれたもの、中国の自然や中国人の生活感情を如実に表現したもの、 日本人にも広く親しまれているもの、親しみやすいものという選定主旨のもとに構成されている。

    思想(一)では、「論語」九編、「孟子」二編が採られ、参考として「荀子」が掲げてある。 思想(二)では、「老子」「荘子」「韓非子」から各二編ずつ採られている。「荘子」の参考として 「科学者のこころ(湯川秀樹)」が掲げてある。

    話(一)では、「十八史略」から四編が、史話(二)では、「史記」から二編、「三国志」から一編が採られている。

    ●全般的な学習活動
    1. 何度も繰り返し音読して、漢文の訓読に慣れるようにする。
    2. 書き下し文を利用して、漢文訓読の原則や送り仮名・返り点などについて理解する。
    3. 漢文訓読の原則、再読文字を始めとする重要単語、主な句法などについて、基礎知識を蓄積してゆく。
    4. 故事成語が生まれた由来を学習して、その一般的な意味を正しく捉える。
    5. 故事成語について関心を持ち、出典や語義について積極的に調べてみる。
    6. 格言・成句を用いて短文を作る練習を行い言語生活を豊かにするよう心がける。
    7. 故事成語のうち日常の会話にも出てくるものは、使いこなせるようにする
    8. 五言絶句・七言絶句について、その整然とした表現構成に注意し、正しく訓読して詩の持つ語調とその美しさを感得する。
    9. 絶句では「起承転結」の構成、特に「転」句の特色に注意し、律詩では対句の美しさを味わう。
    10. 押韻を確かめる。

    【漢文編】
    単元・教材名 内容 学習のねらい 学習活動 到達目標
    第一部
    1  故事・小話
    苛政猛於虎也
    (礼記)
    朝三暮四(列子)
    漁父利(戦国策)
    塞翁馬(淮南子)
    王子猷
    (世説新語)
    秦西巴(韓非子)
    【日本漢文】
    所争在弓箭不在米塩(頼山陽「日本外史」)

    導入単元なので、長くなく、わかりやすく、興味をひく教材。

    日常生活の中でもしばしば用いられる故事成語や諺に関するもの。

    風流や人情を主題とした古人の逸話。

    「苛政猛於虎也」は「捕蛇者説」を理解するための参考教材でもある。

    「日本外史」中の有名な一話。

    苛政猛於虎也」「塞翁馬」では、厳しい社会情勢について考えさせる。

    「漁父利」では、比喩による説得の巧みさを理解させる。

    「王子猷」では、竹林の七賢などに触れ、「此君」の故事は『枕草子』にも採られていることを確認させる。

    古来よりの武士道を誇りとする上杉謙信の逸話を、日本漢文を通して学び、わが国の漢文についても関心・興味をもたせる。

    「朝三暮四」「漁父利」「此君」は故事成語、「苛政は虎よりも猛し」「人間万事塞翁が馬」は諺であり、それらの生まれた由来を確認する。

    これの故事成語や諺の一般的な意味を正しく理解する。

    「王子猷」「秦西巴」小話の面白さ、登場人物の性格を考える。

    再読文字・置き字・重要単語・基本句形など、漢文訓読の基礎知識を復習する。

    文法的な面から、再読文字・使役形・疑問形・反語形・比較形・否定形・限定形など各種の句形を理解するのに適した、 数多くの短文を含むので、基礎的な知識を蓄える。

    故事成語や諺は、まず意味を正しく理解し、会話や文章の中で使いこなせるまでに習熟する。

    2  文(一)
    漁父辞(屈原)
    帰去来辞(陶潜)
    捕蛇者説
    (柳宗元)

    中国の文学史上有名なものであり、時代は戦国・晋・唐にわたり、内容もそれぞれ特色を備えている。

    「捕蛇者説」は長いので、親しみやすいよう、一部書き下し文になっている。

    孤高で不遇な詩人の感慨を、田園詩人の脱俗的な心境を、民衆の苦しみを訴える作者の情熱を、理解・鑑賞させる。

    内容・表現ともに易しいものではないが、細かい点にこだわらず、繰り返し音読させる。

    庶民の側に立って重税の苦しみを訴える作者の情熱に触れる。

    屈原の、俗世と妥協しない孤高の精神と、漁父の融通無碍な人生観の対立を捉える。

    作者の人生観を学ぶとともに文章の美しさを味わう。

    文章構成の巧みさを捉える。

    それぞれの文章を繰り返し音読し、暗唱できるようにする。

    3  漢詩(一)
    【絶句】
    鹿柴(王維)
    登鸛鵲楼
    (王之渙)
    涼州詞(王翰)
    楓橋夜泊(張継)
    早発白帝城
    (李白)
    芙蓉楼送辛漸
    (王昌齢)

    【律詩】
    過故人荘
    (孟浩然)
    除夜宿石頭駅
    (戴叔倫)
    登高(杜甫)
    咸陽城東楼
    (許渾)

    【古詩】
    桃夭(詩経)
    勅勒歌
    (古詩賞析)

    わが国でも古来より広く愛誦されている有名な作品。

    絶句六首

    律詩四首

    古詩二首

    五言絶句・七言絶句について、その整然とした表現構成に注目させ、正しく訓読して詩のもつ語調とその美しさを感得させる。

    五言律詩・七言律詩では、対句などの表現構成に注意させるとともに、絶句と合わせて近体詩の概要を理解させる。

    四言古詩・雑言古詩の代表的な作品を通して古体詩の概要を把握させる。

    以下の着眼点に留意して学習する。

    • 登鸛鵲楼―黄河の雄大な風景。
    • 鹿柴―「詩中に画有り」といった静寂さ。
    • 涼州詞―辺塞を守る出征兵士の悲壮感。
    • 楓橋夜泊―名勝の地に宿る作者の旅愁。
    • 早発白帝城―長江の急流の船足の速さ。
    • 芙蓉楼送辛漸―作者の孤高の精神。
    • 過故人荘―のどかな農村のスケッチ楓な描写。
    • 除夜宿石頭駅―他郷で新年を迎える旅人の悲哀。
    • 登高―流浪の果ての詩聖の晩年の嘆き。
    • 咸陽城東楼―悠久の自然の中で往時を偲ぶ懐古の情。
    • 桃夭―古代詩の素朴な美しさ。
    • 勅勒歌―異民族の描いた草原の風景の爽快さ。

    絶句・律詩では、漢詩のきまり(体裁・押韻・対句)を復習し、古詩では、自由な形式のもとでの素朴な味わいを鑑賞する。

    4  思想(一)
    【論語】
    孔子(為政)
    (述而)(子罕)
    (衛霊公)(顔淵)
    (先進)(学而)
    (八いつ)(季氏)

    【孟子】
    天爵・人爵
    四端(孟軻)

    《参考》性悪(荀況「荀子」)

    中国の中心的な思想である儒家。論語から九章。

    内容が明快で日常生活で用いられている熟語や成句のもとになっている、親しみのもてるもの。

    孔子の学問・人生に対する態度やその厳しさに着目させ、生徒の日常の学習や生活態度と比べて考察させる。

    孔子の思想を継承発展させた孟子の、性善説に関する考え方を理解させる。

    本性に関して孟子と真っ向から対立する荀子「性悪」を通して、両者の考え方の違いを理解させる。

    孔子の修養・学問・教育・政治などに対する考え方を、グループごとに探求し発表する。

    孟子の思想、特にその性善説を学ぶ。

    同じ儒家ながら孟子対立する荀子の性悪説を学ぶ。

    漢文の訓読に慣れ、句法を正しく理解するとともに、各章句の要旨を的確にとらえる。

    5  史話(一)
    荊軻入秦
    貞観之治・三題(一)路不拾遺
    (二)創業・守成
    (三)西域賈胡
    (曾先之
    「十八史略」)

    室町時代の末期に渡来して以来、漢籍への入門書、中国の歴史を知るための初学者用の格好の教科書としての「十八史略」。

    「荊軻入秦」では、男として知遇に応えるため秦王政の暗殺に赴く荊軻の悲壮な覚悟を読み取らせる。

    「貞観之治」では、太宗の名君ぶりと魏徴や房玄齢の名臣ぶりを学ばせる。

    「路不拾遺」「西域賈胡」では、孔子が正そうとする、太宗の姿勢をとらえさせる。

    「創業・守成」では、太宗の名臣たちを巧みに操縦するその手腕について学ばせる。

    荊軻が秦王暗殺のために立てた冷静緻密な策略を理解する。

    荊軻の詠んだ歌に込められた悲壮な覚悟を読み取る。

    荊軻の暗殺を成功させるため、自刎する樊於期の鬼気迫る心情を理解する。

    中国の歴史書についての理解を深める。

    第二部
    1  文(二)
    前赤壁賦(蘇軾)
    《参考》赤壁
    (趙翼)

    唐宋八大家の一人蘇軾の、特に名文として知られる、美しい自然描写と作者の人生観が吐露されている。

    宋代、蘇軾の特に名文として知られる、美しい自然描写と作者の人生観を鑑賞させる。

    趙翼の「赤壁」は、「前赤壁賦」だけでなく「漁父辞」「水魚之交」とも関連があることを確認させる。

    「赤壁の戦い」について、そのあらましを知る。

    文章を繰り返し音読し、好きな部分を暗誦する。

    作者の人生観を学ぶとともに、文章の美しさを味わう。

    2  漢詩(二)
    長恨歌(白居易)

    《参考》
    かの贈り物
    御覧ぜさす
    (紫式部
    「源氏物語」)

    唐の白居易の長編の七言古詩。

    安史の乱を背景にした玄宗と楊貴妃の愛とその悲劇を平明で美しい詩句を通して鑑賞させる。

    『源氏物語』「桐壺」を通して、「長恨歌」が日本文学に与えた影響を理解させる。

    玄宗皇帝と楊貴妃の愛とその悲劇をその流麗な表現の美しさとともに鑑賞する。

    日本文学に与えた影響を具体的に把握し、白居易が平安朝文学に影響を与えたことを理解する。

    3  思想(二)
    【老子】
    無為
    無用之用(老たん)

    【荘子】
    夢為胡蝶
    渾沌(荘周)

    《参考》
    科学者のこころ
    (湯川秀樹)

    【韓非子】
    侵官之害
    二人説(韓非)

    「賢人や財宝を尊重せず、無為自然の政治をせよ。部屋でも茶碗でも、その空間にこそ価値がある」という、 儒家とは正反対に位置するの老荘思想。

    韓非子の、法治主義や信賞必罰を旨とする法家思想。

    道家思想の一端を理解させる。「荘子」では湯川秀樹の違った角度・視点に触れさせ、中国古典に興味を持たせる。

    法家の韓非子の、法治主義や信賞必罰の法家思想のあらましを理解させる。

    韓非の厳しい人間観察にも目を向けさせる。韓非は荀子の弟子であり、荀子の「性悪」も法家思想との関連で理解させる。

    儒家とは正反対の老子の思想を受け継ぎ、相対的な考えを断ち切って絶対自由の世界に遊ぶ荘子の境地を学ぶ。

    荀子の性悪説を継承してさらに冷厳な思想をうち建てた法家の韓非子の思想に触れる。

    儒教思想以外の、中国の古代思想についての理解を深める。

    4  史話(二)
    鴻門之会
    四面楚歌
    (司馬遷「史記」)

    水魚之交
    (陳寿「三国志」)

    「史記」は、単に史実を記すだけでなく、登場人物の性格や運命を活写している。

    「三国志」の、諸葛孔明が劉備に初めて会って天下三分の計を説く有名な場面。

    項羽と劉邦、二人の英雄の争いの後半部から、単に史実だけでなく、登場人物の性格や運命について、読み取らせる。

    「三国志演義」でもなじみのある関羽や張飛も登場する「三国志」は、 生徒に興味を持たせやすい教材であり、わが国の同時代との比較なども織り交ぜて、 文学と歴史(的事実)との関係について理解させる。

    漢楚の興亡を学ぶとともに、作者司馬遷の文学的描写を味わう。

    登場人物を分担して朗読してみると、臨場感があってより理解を深める。

    天下三分の計を学び、諸葛孔明が劉備にとって大切な存在であったことを学ぶ。

    「史記」に含まれる「使役・受身・否定・疑問・反語・仮定・限定・願望・詠嘆・抑揚」などの句形を確認し、文法の力を養う。


◎評価ポイント(観点・重点)

評価規準(方法)A(学習者の能力)
  1. 関心・意欲・態度
  2. 思考力・判断力
  3. 資料活用の技能・表現力
  4. 知識・理解
  • 学習進度確認小テスト(月毎)
  • 中間考査・期末考査等の結果

◎学習活動

古典の授業は、教授者の一方通行になりがちであり、 朗読テープやスライドなど視覚・聴覚的側面を補強して、 その弊を軽減すると同時に、学習者の興味・関心が 持続するような工夫を様々に凝らされたい。
  • 朗読・話し合い・感想文・課題レポート提出等の言語活動を積極的に行う。
  • インターネットも参考資料の検索など、適宜活用する。
  • 図書資料の活用(学校図書室の利用)。
  • 視聴覚教材(スライドなど)の活用(視聴覚室の利用)。

※回数、学期・月などは、学校個々の事情に合わせて、適宜お書き込み願います。

◎学習方法

  • 教科書はもちろん、副教材・視聴覚教材等を活用し、さらにはインターネット検索や学校図書館の図書資料等の活用して、積極的に学習する。

◎学習上の留意点(生徒への注意事項)

  • 授業では必要に応じて板書やプリント等を配布するので、それらを活用するためにも、 なるべく科目ごとのノートやファイルとじ等を用意すること。
  • 古典学習においては、言語的・視聴覚的な感覚が特に要求されるので、 常に学習の各場面で、古語辞典・図表便覧等を携行、参照するよう心がけること。
  • レポート提出や発表においては、自分の考え・意見をまとめ、それが表現できるよう心がけて学習する。 なお、レポートの課題や参考資料等について相談等あれば、教科担当者に尋ねること。
  • 学校行事や長期休暇などがあるので、授業進度や考査範囲などについては、 教科主任(責任者)を中心に見直しを行い、その都度知らせるので、注意すること。

◎評価方法について

  • 授業への取り組み、レポート、定期考査等を中心に上記評価基準Aの観点によって、総合的に評価する。
  • 古典作品(に限らないが)は互いに関連し影響しあっている側面が強いので、その関係に留意して学習する。 また、学習の評価は、定期考査に加え、レポートへの取り組み姿勢や朗読・課題発表等に対しても行う。 特に、自分なりの考えをまとめ、それをまとめたり書いたりして、積極的に発表できるかなどを、総合的に勘案して判断する。

単元
(単位/時間)
教材名 評基A
古文編
第一部
(1.3 /47)
1 説話(一)(/6)
    十訓抄 一 文字一つの返し
二 笛吹きの成方と名器「大丸」
    古今著聞集 一 刑部敦兼と、その北の方
2 物語(一)(/10)
    伊勢物語 一 初冠
二 芥河
三 梓弓
四 渚の院
五 小野の雪
    源氏物語(一) 一 桐壺
二 若紫
    平家物語 一 祇園精舎[言語活動教材]
二 忠度の都落ち
3 随筆(一)(/9)
    徒然草 一 あだし野の露
二 家居のつきづきしく
三 雪のおもしろう降りたりし朝
四 つれづれわぶる人は
五 花は盛りに
六 悲田院の堯上人は
七 世に従はん人は
八 相模守時頼の母は
    方丈記 一 ゆく河の流れ
二 安元の大火
4 日記・紀行(一)(/7)
    土佐日記 一 門出
二 忘れ貝
三 帰京
    更級日記 一 あづま路の道の果て
二 源氏の五十余巻
三 荻の葉
    奥の細道 一 旅立ち
二 白河の関
三 立石寺
5 和歌・歌謡・俳諧(/9)
    和歌(万葉集・古今和歌集・新古今和歌集・山家集・金槐和歌集)
    歌謡(梁塵秘抄・閑吟集)
    俳諧・発句(宗鑑・守武・貞徳・宗因・西鶴・芭蕉・其角・嵐雪・
    去来・千代女・蕪村・一茶)
6 評論(一)(/6)
    古今和歌集序 一 やまと歌は
    無名草子  一 いとめでたきもの
    去来抄 一 先師評
 
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古文編
第二部
(1.1 /37)
1 説話(二)(/5)
    古事記 一 須佐之男命の大蛇退治
    宇治拾遺物語 一 伴大納言応天門を焼く
2 随筆(二)(/8)
    枕草子 一 上に候らふ御猫は
二 すさまじきもの
三 ありがたきもの[言語活動教材]
四 中納言参りたまひて
五 九月ばかり、夜一夜
六 雪のいと高う降りたるを
七 この草子
3 物語(二)(/8)
    源氏物語(二) 一 夕顔
二 葵
三 須磨
四 御法
    大鏡 一 雲林院の菩提講
二 花山院の出家
三 三船の誉れ
四 隆家と道長
4 日記(二)(/5)
    蜻蛉日記 一 嘆きつつ
    和泉式部日記 一 薫る香に
    紫式部日記 一 土御門殿の秋
5 評論(二)(/6)
    無名抄 一 深草の里
    三冊子 一 不易流行
    玉勝間 一 兼好法師が詞のあげつらひ
6 近世の小説(/5)
    日本永代蔵 世界の借屋大将
    雨月物語 一 浅茅が宿
 
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漢文編
第一部
(1.0 /35)
1 故事・小話(/9)
    苛政猛於虎也(礼記)
    朝三暮四(列子)
    漁父利(戦国策)
    塞翁馬(淮南子)
    王子猷(世説新語)
    秦西巴(韓非子)
    【日本漢文】 所争在弓箭不在米塩(頼山陽「日本外史」)
2 文(一)(/6)
    漁父辞(屈原)
    帰去来辞(陶潜)
    捕蛇者説(柳宗元)
3 漢詩(一)(/7)
    【絶句】 鹿柴(王維)
登鸛鵲楼 (王之渙)
涼州詞(王翰)
楓橋夜泊(張継)
早発白帝城(李白)
芙蓉楼送辛漸(王昌齢)
    【律詩】 過故人荘(孟浩然)
除夜宿石頭駅(戴叔倫)
登高(杜甫)
    【古詩】 咸陽城東楼(許渾)
桃夭(詩経)
勅勒歌(古詩賞析)
4 思想(一)(/8)
    【論語】 孔子(為政)(述而)(子罕)(衛霊公)(顔淵)
(先進)(学而)(八いつ)(季氏)
    【孟子】 天爵・人爵
四端(孟軻)
《参考》性悪(荀況「荀子」)
5 史話(一)(/5)
    十八史略 荊軻入秦
貞観之治・三題(曾先之)
(一)路不拾遺
(二)創業・守成
(三)西域賈胡
 
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漢文編
第二部
(0.6 /21)
1 文(二)(/4)
    前赤壁賦(蘇軾)
    《参考》赤壁(趙翼)
2 漢詩(二)(/4)
    長恨歌(白居易)
    《参考》かの贈り物御覧ぜさす(紫式部「源氏物語」)
3 思想(二)(/6)
    【老子】 無為  無用之用(老たん)
    【荘子】 夢為胡蝶  渾沌(荘周)
    《参考》科学者のこころ(湯川秀樹)
    【韓非子】 侵官之害  二人説(韓非)
4 史話(二)(/7)
    史記 鴻門之会
四面楚歌(司馬遷)
    三国志 水魚之交(陳寿)
 
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●付録
一 動詞活用表
二 形容詞・形容動詞活用表
三 古語敬語動詞
四 古語助動詞活用表
五 古語助詞一覧表
六 五十音図、月の異名、時刻・方位・十ニ支
七 大内裏図
八 内裏略図、清涼殿略図
九 日本古典文学関係年表
十 漢文のきまり
十一 漢文関係年表
(見返し) 旧国名・都道府県名対照地図    漢文関係地図
カラー口絵 15葉