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    平成18年度  国語総合014「国語総合」  シラバス(年間授業計画案)
※各シラバスは、御校の事情にあわせて、適宜加工していただいて結構です。
※ご利用は小社教科書ご採用校の先生方に限らせていただき、シラバス作成以外のご利用はご遠慮願います。
㈱右文書院 編集部

◎教科名:国語

  • 科目名:国語総合
  • 履修学年:1年
  • 単位数:4単位(140時間)
  • 使用教科書名:国語総合
  • 発行者:右文書院
  • 略称・記号:142 国総014
  • 判型・総ページ数:A5・380ページ

【教科書・教材の採択評価】

  • イ 表現・内容のわかりやすさ
  • ロ 語彙・文法・知識 レベル
  • ハ 表現・言語活動
  • ニ 図表・写真などの使いやすさ
  • ※各項目5段階評価による総合的判断(教科書採択調査資料として)

【教科書の構成について、特に配慮してある点】

  • 〈現代文編〉
    1. 単元はジャンル別に編成され、さらにジャンルによっては複数単元に分割配列してあり、内容の難易別の配置や学習の進度を損ねないような、学校現場の実際に合わせた配慮がうかがわれる。
    2. 教材本文の理解、学習の応用およびまとめなど学習の手引きとして役立ち、本文に即した学習活動が行えるよう配慮された、●学習(理解教材)=常用漢字表内の語句を中心に、必要に応じてその意味を問うなどして、常用漢字・言葉のきまりなどの立体的な学習にも対応/●表現の学習(言語活動教材・表現教材)が各教材末尾に設けてある。
    3. 各教材の注記は、学習の効果を高めるため、読むことにおける現代文・古典の各教材ともに12…を本文・注記の双方に付して脚注の体裁で掲げてある。
    4. 作品としてまとまった分量があり、それぞれの作品の要となる部分を取り上げるともに、他の教材との関連性にも配慮が払われていて、学習の有機的なつながりを重視した編集がなされている。
    5. 注釈は脚注形式により、その注解もおおむね適切であり、辞書を引けばわかる語句などは省略してあって、生徒の自主的学習に委ねるのと方針が垣間見える。なお表現編では同じ体裁で表現関係の用語が掲げてある。
    6. 作品の読解は本文の一字一句に即して行う、という基本姿勢がうかがえ、各教材ごとに、常用漢字表内の主な漢字・語句や表現学習に必要な注意すべき語句や慣用表現が、生徒の注意を喚起するよう、†・*を付して適宜取り上げられている。
    7. 本文の理解に役立ち、学習意欲を喚起するようなカラー口絵や写真・図版が多く配置されており、巻末には「付録」として、文法諸表のほか、「日本文学関係年表」「常用漢字表、付表」が掲載してある。
  • 〈表現編〉
    1. 読むこととは別に独立した単元として編成され、これをさらに話すこと(1~3)、書くこと(1~4)に分割して構成してある。ここでの学習・指導の目標を、書くことにおける基礎的・基本的な表現技術の習得におき、そのための解説文や表現学習が理解編の各単元学習と随時平行して立体的に学習できるような配慮のあとがうかがわれる。
    2. 学習は表現編各単元の末尾に設けられており、取り組みやすいものとなるような工夫や、負担感を軽減し達成感を獲得しながら、書き慣れていくことに重点が置かれている。また、単元の解説文の理解度を確認できるとともに、多様な表技術が習得できるような配慮もなされている。
    3. これまでの実践研究の成果を取り入れ、各種の文体について、表現の過程に沿って小ステップの学習を重ねていけるように、教材全体を体系づけてある。
    4. 「話すこと」「書くこと」ともに、表現技術を学習することに重点を置いた単元と、話しことばや状況に応じた話し方、文章の種類に応じてまとまりのあるものを書き上げることにそれぞれ重点を置いた単元とが、バランスよく配置されている。
  • 〈古文編・漢文編〉
    1. 古文編・漢文編では、各冒頭に2色刷りの入門単元を設けて、生徒の発達段階に応じた親しみやすい教材、特に音声言語を重視して、古文においては文章の響きを味わうための朗読に適した教材が配されており、さらに学習・理解のための平易な解説文、現代語訳や重要な文法事項は赤刷りで表示するなど、無理なく学習が展開し基礎学力がつくような配慮がなされている。
    2. 読むことにおける古典入門単元は、初めて古典に接する生徒の以後の学習展開を踏まえ、古典に対する持続的な関心や興味、学習意欲の向上を図る工夫として、古文編入門単元では冒頭教材「母子猿」は現代語訳の全文を色刷りの脚注の体裁で掲げ、本文活字も大きいものが用いられている。漢文編入門単元では冒頭教材「杞憂」「五十歩百歩」ともに色刷の全文の書き下し文が添えられ、それぞれの本文活字も大きく[現代語訳]も付されている。入門単元全体としては、中学校での学習の確認を含め、内容が比較的容易でかつ現代にも通じる親しみ易い教材が採り上げられており、教材量も多く、教材の組み合わせ方などによっては、多彩な授業展開も可能に思われる。入門期導入のための十全の手当が施されていて、無理なく古典学習が展開できるよう配慮されている。
    3. 自学自習の妨げにならない程度において、適切な注を施し、学習の手引きを配してあり、教材理解の手助けとなる写真・図版も多い。
    4. 脚注形式の注釈はおおむね適切であり、辞書を引けばわかる語句などは省略してあって、生徒の自主的学習に委ねるのと方針が垣間見える。
    5. 古典教材にあっては、注記とは別に*を付して、学習上特に必要な文法・用法上の確認事項について、生徒の注意を喚起するような配慮が払われている。古文編では重要古語が、漢文編では注意すべき文法・語法事項が、ともに*を付して取り上げられていて、古典文法の概要は作品の読解に即して行う、という基本姿勢がうかがわれる。
    6. 本文の理解に役立ち、学習意欲を喚起するようなカラー口絵や写真・図版が多く配置されており、巻末には「付録」として、文法諸表のほか、日本古典文学関係年表、漢文のきまり、漢文関係年表、大内裏図、内裏略図、清涼殿略図が、見返しにも2色刷りの旧国名・都道府県名対照地図・漢文関係地図が掲載してある。
  • 〈教科書全般〉
    1. ●学習は教材のより深い理解に到達するために、基礎的なものから順次発展的なものへと配置してある。学習指導要領の今次の改訂の趣旨に沿った、「伝え合う心」を養うことを目的とした表現・言語活動に結びつくような、本文の内容理解を前提に、さらに自らの考えをまとめる問いが含まれるなども、その配慮の一例であろう。
    2. 学校図書館やインターネットなどの活用を通して、複数の課題を順次解決しながら、教材本文の趣意を理解でき、さらに自ら表現するための配慮がなされている。
    3. 単元毎に中扉を設けて、そこで学習する予定の教材本文名を列記し、さらなる学習の指針とした。
    4. 巻頭4頁の教材本文と関連のあるカラー口絵写真(当該ページを付記した)や本文中の随所に適宜挿入された写真・図版については、生徒諸君の視覚的側面からの本文理解を促し、加えて個々の教材に対する親しみが湧くよう配慮するを配されており、本文理解の助けとなろう。
    5. 巻末の付録として、現代文と古典の関係・関連を理解するための一助として、文法事項一覧には現代語と古語とを対照的に掲げ、月の異名や時刻・方位、文学関係年表も掲げられている。また、表裏見返しに配した色刷の地図も、現代との違いや共通点が明らかになる一助となるなど、学習に際しての立体的・有機的な活用が考慮されている。

※以下、各編・単元毎

《現代文編》

  • 今回の指導要領の改訂の趣旨に則り、本教科書でも「伝え合う力」を高めるための配慮を行ったことは言うまでもない。しかし、このことは読解する力をおろそかにしてよいということを意味するものではない。本教科書では、読解の作業を基礎に「伝え合う力」を形成しうることを目指した。したがって、今回新たに加えた教材のみならず、これまで既に用いてきた教材に関しても、新指導要領の精神に則った扱いをするよう、設問、解説等に手を加えてある。いたずらに新奇なものを追い求めるのではなく、良いものは残し、新しい切り口で教えるという姿勢が大切だと考えるからである。


  • ◎教科到達目標(学習指導要領)
    1. 国語を的確に理解し適切に表現する能力を身につけ、さらには伝え合う力を高めるために、国語の基礎的・基本的な能力の涵養を図る。
    2. 思考力を伸ばし心情を豊かにし、言語感覚を磨き、言語文化に対する関心を深め、国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。
    3. コンピューターネットワーク社会の成熟に伴う情報化・国際化に対応するために、日頃から学校図書館を利用したり、コンピューター等を活用して、有益な情報を効率よく収集することに習熟することによって、国語を的確に理解し適切に表現する能力の涵養を図る。
    4. 言語を通して思考力を伸ばし、心情を豊かにすることによって、豊かな人間性の育成を図る。

    国語を的確に理解し適切に表現する能力、伝え合う力、国語の基礎的・基本的な能力、国語を的確に理解し適切に表現する能力の涵養を図る。特にコンピューターネットワーク社会の成熟に伴う情報化・国際化に対応し、日頃から学校図書館を利用し、コンピューター等を活用して、有益な情報を効率よく収集することに習熟できるような教材を精選し、随所に適切に配列した。

    言語を通して思考力を伸ばし、心情を豊かにすることで豊かな人間性の育成を図る。その捷径として、言語感覚を磨き、言語文化に対する関心を深め、国語を尊重してその向上を図る態度が育つような教材を精選し、随所に適切に配列した。


    (本教科書における現代文教材の内容)
    • 単元1  未知への探求
      • 巻頭単元は導入の単元でもある。繰り返しになるが、高等学校国語学習の目的は、青春のただ中にいる若者たちに、国語(日本語)の学習を通じて、その内面の充実と、旺盛な表現活動の促しとにあるといえる。内面の充実を図るには、読書欲を刺激して、思考力・感受性を拡充させることが最も肝要である。そのためには、教科書登載教材が、楽しく学べるものであるだけでなく、生徒たちの心に清新な息吹を吹き込むものでなければならない。したがって、この単元の教材選定にあたっては、これらの配慮が最優先されることは言うまでもない。まず竹西寛子「神秘」では、自然の「神秘」にふれることによって生じた感動が語られている。ここで筆者は二つのことを強調している。一つは謙虚な態度で自然に対したら、どれほど未知の世界が広大なものであるかに気づかされ、そのことで強い好奇心が働き始めるということである。もう一つは、想像力を働かすということである。次々と浮かぶ疑問に対して、自分なりに様々に考えて想像してみる楽しみを味わうことが可能になる。

      • 他方、土屋賢二「汝みずからを笑え」は、ふだん疑われることの少ない「常識」を疑うという、不意をつくような書き出しで始まる。自然現象ではなく、人間の心理の不思議なありようについて、常識とは異なった見方を提出している。もちろん、自分自身のあり方を見つめることは青年に限られたことではない。しかし、思春期の若者にとっては、とりわけ大きな意味をもつものである。「自分が不幸だ」と感じる若者も多いと思われるが、「不幸」とはいったいどういうことなのか、そしてまた、それはどのようにすれば克服が可能なのか、を筆者は巧みな文章で述べている。思索することの楽しさと、考えることの大切さに目を開かせる、高等学校国語の学習の第一歩にふさわしい教材となっている。

      • 以上の二つの教材に触れることによって、生徒たちの学習意欲が活発化するよう、本単元を構成した。

    • 単元2  小説(1)
      • 最初の小説単元である。一つは近代文学の名作である芥川龍之介の「羅生門」であり、他の一つは魂に直接語りかける童話を書いた宮沢賢治の「鹿踊りのはじまり」である。ともにみごとな構成と表現力を兼ね備えた作品であるといえる。小説においては、それぞれの作品が持つ主題を読みとらせることが一つの目標になる。「羅生門」では下人の行動を通して、作者は人間の醜悪な面を遺憾なく描き切ってはいるが、しかし自然主義の作家とは違って、ただその醜悪な面を暴露的に描くことが目的なのではなく、下人の生きるためにはやむを得ない行動も、そこには全く相反する感情の対立があることが描かれている。その結果、下人は遂に飢え死にするより、盗人になることの方を選んだのである。最後の一文「下人の行方は、だれも知らない。」には、人間存在に対する救いのなさとともに、そのようにしてしか生きられない人間を憐れむ気持ちもこめられているようである。

      • 一方、賢治の童話では、聖書にいう「太初に言葉ありき」と等しく、「コトバ」が「精神」と直結している姿が見事に描き出されている。冒頭に「風が…ほんとうの精神を語りました」という「ほんとうの精神」とは「もののはじまり」(創造)であり、「存在の確認」をする働きでもある。しかもそのことが、「コトバ」によってなされることをこの物語は教えてくれる。この作品を読むことで、私たちの精神がいつまでも瑞々しくあることを祈りたい思いに満たされるのである。芥川の作品からは人間性の持つ矛盾の深い洞察が読みとられ、賢治の作品では魂を見失いつつある現代人にとっての、心の救済と生命の甦りのあり方とを感じることができよう。このような深い感銘を、それぞれの作品の主題を読みとるとともに体得することこそ、小説単元の学習意義があるといえよう。

    • 単元3  随想・評論(1)
      • 清新な気持ちで高校生活を始めた生徒たちに、より広い視野でものを見ることと、さまざまな観点からものを見ることの重要性を認識させることを目的としてこの単元は構成されている。片倉もとこの「みえないものを大事にする」は、これまで日本ではあまり知られることのなかったアラビア遊牧民の価値観を学ぶことを通じて、文化相対主義の考え方の大切さを身につけさせたい。個々の文化に特異なことのようにみえるものの中に普遍的なものを見いだすということも重要である。西欧文明にのみ普遍性を見るという、従来のひずんだ見方を修正するという意味でも、筆者のような考え方を学ぶことの意味は大きい。「みえないものを大事にする」ということは、物質的な豊かさの限界を見据えて、精神文化が見直されようとしている現代社会の方向性を指し示す考え方である。

      • 清岡卓行「ミロのヴィーナス」では、想像力の働きについて次のように記述している。「つまり、そこでは、大理石でできた二本の美しい腕が失われたかわりに、存在すべき無数の美しい腕への暗示という、ふしぎに心象的な表現が、思いがけなくもたらされたのである。」(60ページ)と。それと共に筆者の指摘する「手というものの、人間存在における象徴的な意味」についても注目しておきたい。このような、ある具象の示す象徴的な意味を感じとるということは、美を発見する大きな契機にもなることである。この単元では、国際性・想像力・普遍性ということに焦点を置いた指導が望ましくそれに従って生徒たちの視野が広がってゆくことを期待したい。

    • 単元4  詩
      • 詩教材をどう扱うかは、現代の国語教育における重要課題の一つと考えられる。本単元では二人の詩人の優れた詩作品を通して、生徒たちの心に迫る授業が展開されることを念願して構成されている。まず、最初に、青春のまっただ中で疾風怒濤の生命を燃焼させた詩人・彫刻家高村光太郎の作品を収録している。光太郎は遂に智恵子と出会うことによって、その生の結実を見るに至った。しかるに嵐は再び彼を襲ったのである。豊かな愛は今みるみる千鳥と共に遠くの彼方に飛び立とうとしている。この詩を鑑賞することで、生徒たちは必ず大きな魂の衝撃を受けることが想像される。また伊東静雄は、初期においては、見える世界を拒否して、そのことによって想像力を拡充させ、見えない精神の世界を詠いあげようとする「逆説的な肯定の抒情法」(小高根二郎の説)を詩作法に取り入れた詩人であるが、「反響」あたりではその風は影をひそめ、諦観と英知の見られる円熟した境地を示すようになる。彼もまた日本抒情詩の歴史では忘れることのできない大きな存在である。

      • 中原中也の「骨」については、詩の読解の一つの例を示すという意味で、中村稔の「彼岸への祈り」という鑑賞文を付した。もちろん、これが絶対的なもので、その他の可能性を認めないということではなく、このような鑑賞方法をもとに、生徒それぞれの感性を研ぎ澄まし、想像力を促すような指導方法が期待される。なお、本教材は特に「言語活動教材」としての位置づけを行っており、目で文字を追うだけでなく、詩の内容にふさわしい朗読方法を学ばせることなど音声面での扱いに留意することが肝要である。そして、これらの詩について読み取ったことを発表して互いに意見を交換することによって、自己の感性や表現力を培うことにつなげることが可能である。

    • 単元5  随想・評論(2)
      • 単元三に対して、ここでは本格的な評論の読解指導に適した作品を収録することを意図した。まず司馬遼太郎の「文明の電源」は人類にかわって日本人が登場する。その日本人が世界の人たちからどのように見られているかということを通して、日本人のあり方を考えさせようというのが本講演の趣旨で、司馬氏の気持ちの奥には憂国の思いが深く潜んでいることが読みとれる。

      • これに対して、坂口安吾「文学のふるさと」は、日本人という枠ではなく、さらにより大きな枠組、人間の心の問題を文学論として論じたものである。ここで筆者が提起している問題は、ひとり文学にのみ関わるものではなく、もっと普遍性の高い、人間の心の問題と解するべきである。「生存の孤独」とは文学にとどまる問題ではないからである。司馬氏が日本人の問題として取り上げていることがらも、実はより広く人類の問題の中に位置づけてとらえることも可能だ。生徒たちの目を日本人の将来へと向かせるだけでなく、広く人間の問題へと向かわせることは、人間の心の問題を鋭くついた坂口氏の主張と併せ読むことによって可能となる。日本人としての自覚と人間としての自覚を有機的に関連づけることによって、学習意図が達成できたということになる。

    • 単元6  短歌・俳句
      • 本単元では、短詩型文学を扱うことによって日本人がその心情をどのように表現してきたかを学ばせたい。桑原武夫によって第二芸術と呼ばれ、その衰退が予言された短詩型文学は、その予想に反して、今やますます同好者の数を増やしつつある。その原因については様々な意見が寄せられているが、何といっても日本語独得な省略表現が、その余情と共に読者の想像力を強烈に刺激し、人間的な自由感を与える点が挙げられるのではなかろうか。若い生徒たちにも、その指導法いかんによっては、大きな感銘を与えることは不可能ではないと思われる。本単元では八名の歌人十六首と、八名の俳人十六句が採られている。短歌には浪漫的歌風明星派を代表して与謝野晶子や、その「明星」出身の石川啄木、北原白秋、また旅と酒の歌人若山牧水が収められている。一方明星の浪漫主義に対してアララギの写生派には斎藤茂吉が居り、後にアララギ派から離れてはいるが強い影響を受けている釈迢空・近藤芳美も加えられている。また完全に独自の歌風を樹立した会津八一も八名の中に加えられている。これらの近代短歌の代表者たちの歌を学ぶことによって、近代短歌の歴史にぜひとも触れさせ、短歌の生命がどのような点にあるかを理解させたいものである。一方、俳句では、近代俳句の提唱者であり、写生句を主唱した正岡子規とその協力者ともいえる高浜虚子がまず採られている。俳誌「ホトトギス」によった俳人としては、水原秋桜子、山口誓子、中村草田男、加藤楸邨、中村汀女らがいるが、それぞれ後には一派を形成している。また「ホトトギス」によった飯田蛇笏の息子、飯田龍太は父の後を継ぎ、最近廃刊になるまで「雲母」の編集に従っていた。このように見ると俳句ではほとんど「ホトトギス」が近代俳句の根幹を成していることが分かる。俳句も短歌同様、日本の伝統詩としての歴史に通じさせるとともに、ぜひ生徒たちの関心興味を喚起させたいものである。

    • 単元7  小説(2)
      • 本単元では、近代の名作と、自然破壊という今日的問題にとりくんだ現代作家の作品との二つがとられている。一つは志賀直哉の「清兵衛と瓢箪」、他の一つは池澤夏樹の「最後の一羽」である。ともにみごとな構成と表現力を兼ね備えた作品であるといえる。志賀直哉の存在は近代文学史の中でも特筆すべきものがあることは言うまでもないが、近年改めて志賀文学の評価が見直されつつある。「清兵衛と瓢箪」という作品も、単に父と子の対立抗争という観点からのみ読みとるのではなく、困難な環境の中でも逞しく生きようとする少年の未来に向けられた生きる意志をも感得させられる作品であると言える。一方、「最後の一羽」は、人間ではなくシマフクロウを主人公として、自然破壊を続ける現代人の問題と、生物の中の一員としての人間が今何を考えなくてはいけないかを我々につきつけている。きわめて現代的なテーマをとりあげたもので、「清兵衛と瓢箪」とは対照的な作品である。自然と人間の共生は現代世界の問題であるだけではなく、将来の問題でもある。小説が取り上げるべき問題は個人の心の問題だけではなく、人間と人間を取りまくあらゆる問題である。個人の生き方はそれを取りまく環境と無関係ではないからである。ここで取り上げた二つの作品は、表面的にはまったく異質であるが、広い意味で人間が生きるとはどういうことなのかに迫ったものであるという点において通底するものであり、より深い人間性を理解させることが、本単元の学習によって可能であると考えられる。

    • 単元8  随想・評論(3)
      • 本教科書の多くの教材で、人間の大切にすべき能力として、想像力と創造力が一貫して強調されてきた。それと同時に、自己の発見やアイデンティティの確立などの重要性も指摘されてきた。ところで、この単元では、今までに挙げられてきた重要な視点に加えて、改めて次の二点を考えることの重要性が述べられている。その一つは、客観的に存在するものとそれをどう認識するかとは異なるということであり、いま一つは、物事に対する判断の基準はどのようにして形作られるかということである。

      • 養老孟司「幽霊の正体」は、幽霊という、実在しないと考えられているものについて、実在しないからといって切り捨てるのではなく、人間の心の動きとして考えてみようというものである。幽霊を見るのは、つきつめて言えば脳の働きによるものであり、これは筆者の「唯脳論」の考え方へと進むことになる。すなわち「心理状態でないものがはたしてこの世にあるか。心理というのは、つまりは脳の働きだということである」(143ページ)という考え方である。表面的には幽霊の問題を考えているように見えるが、実は、筆者の考えていることは、人間の心(つまり脳)がどのようなものであるのかということである。

      • 他方、鈴木孝夫「自己基準と他者基準」では、「人間がものを見る見方、ものに接する態度というものは、多分にその人が生まれた風土や文化、特に言語に左右される」(151ページ)という指摘と「人が生きて行くための価値体系の中心に自分を、自分の国を置くという自己中心的な考え方」(154ページ)と、日本人のように「価値の基準を自分自身に置かず、他者にそれを求めるという他者基準的価値観を持っている」(155ページ)国民もあるということが主張されている。われわれ自身の価値判断がどのような基準によってなされているかを深く反省される意見を伺うことができる。この二教材は、実際的に物事にどう対処し、どう判断するかを考えさせるためにふさわしい教材である。

    • 単元9  これからの日本語
      • 現代文の最後を二つの言語関係の教材で締めくくる。まず井上ひさしは「日本語」の最後の一文で、「どれだけ言語に関しては保守的になれるか、…」と述べているが、この保守的の意味を明確に理解しておく必要がある。それは最後の段落にもあるように、①文字による遺伝外情報の伝達を活発に行う。②文字によって学び・考えるという行為を大切に守る、という二点に集約できる。以上のごとく氏は文字言語を重視することによって、未来に向かって豊かに発展することが可能であると強調している。

      • 一方、岡崎久彦の「国際的日本語のマナー」における所論は、国際交流の激しくなっている現在、外国人で日本語を学ぼうとする人も増えているが、その人たちに正しい日本語を教えることの必要性について、触れたものである。この二つの教材は、ともに現在における日本語のかかえている大きな問題点を論じたもので、単元名の「これからの日本語」は、その課題を将来に向かってどう処理すればよいかという問題提起の意図を含んで付けられたものである。両氏とも具体的な解答は示されてはいないものの、このことに対する考察の重要性は、強調してもしすぎることはないという気持ちを抱いておられるように受けとれる。現代文のかかえている様々な問題も窮極においては言語の問題に収斂されてゆく。その意味で本単元の果たす役割の大きさを生徒にも十分理解させたいものである。


    ◯全般的な学習活動
    1. 日常生活ではあまりなじみのない専門用語や慣用表現などについて、辞書・事典などで意味を調べ、本文に適した意味を捉える。
    2. 読解を正確に行い、要約し、それぞれの内容を的確に把握する。
    3. 特に印象の深かった作品や箇所について、自分の考えや意見をまとめ、クラスなどで積極的に発表する。
    4. 優れた表現や構成の巧みさを指摘するとともに、登場人物の言動を通して、会話文や話題や論理の展開について整理する目を養い、彼らの心理や感情、考え方を理解してまとめる。
    5. 作者・筆者の叙述目的を指摘し、どのような目的に添って描かれたものか指摘する。
    6. 作者・筆者の、自然観照眼や人間観察・描写の仕方・論理構築やその展開の仕方の特色やその優れた点を、本文や文献を参考にして指摘し、彼らの考え方や思想・心情について、自分の意見や考えをまとめ、発表する。
    7. 評論・論説はもちろんであるが、随筆・随想のジャンルに含まれている教材でも、専門家が書いたものについては、下準備として該当分野の常識的・基礎的な知識を復習しておくよう心がける。
    8. 文芸評論と諸科学(哲学・法学・生物学など)評論について比較検討し、特に印象に残った評論について、意見文を書いて発表する。
    9. 「韻文(短歌・俳句・詩)」教材から実作の要点をまとめ、自作したものをクラスで発表し相互批評する。
    10. 既習の作品の中から、論表してみたいテーマなどを選んで評論文や随筆文を書き、発表する。
    11. 同一作者・筆者の作品は大学入試などにも出題されることが多いので、本文以外にも目を通しておく。

《表現編》

  • 今回の指導要領の改訂の趣旨に則り、本教科書でも「伝え合う力」を高めるための配慮を行ったことは言うまでもない。しかし、このことは読解する力をおろそかにしてよいということを意味するものではない。本教科書では、読解の作業を基礎に「伝え合う力」を形成しうることを目指した。したがって、今回新たに加えた教材のみならず、これまで既に用いてきた教材に関しても、新指導要領の精神に則った扱いをするよう、設問、解説等に手を加えてある。いたずらに新奇なものを追い求めるのではなく、良いものは残し、新しい切り口で教えるという姿勢が大切だと考えるからである。


  • ◎教科到達目標(学習指導要領)
    • 国語科全体の目標は、そのまま「国語総合」の目標にも踏襲されている(まったく同一のものが掲げられている)。他方、「国語表現Ⅰ」の目標も前半は共通であるが、「的確に理解する能力」・「心情を豊かにし」の部分を省き、末尾の「言語感覚を磨き、言語文化に対する関心を深め、国語を尊重してその向上を図る態度を育てる」という部分を改めている。つまり「進んで表現することによって社会生活を充実させる態度を育てる」ということばで結ばれている。

    • 「国語総合」または「国語表現Ⅰ」が必履修科目であるということから、その両者に共通している前半の「表現」・「伝え合う力」に重きがあることが読み取れる。そして、このことをふまえて、「国語総合」の「内容」についても従前と比べると表現力(「伝え合う力」)に力点が置かれたものとなっている。

    • すなわち、「国語Ⅰ」ではA「表現」、B「理解」の二項目であったものが、「国語総合」ではA「話すこと・聞くこと」、B「書くこと」、C「読むこと」の三項目へと細分化され、特にA「話すこと・聞くこと」が重視されていることがうかがわれる。さらに、[言語事項]について「伝え合う力」を養うための言語教材の選定が求められていることも特徴の一つと言うことができる。


    (本教科書における現代文教材の内容)
    • これまでの実践研究の成果を取り入れ、各種の文体について、表現の過程に沿って小ステップの学習を重ねていけるように教材全体を体系づけてある。また、各単元ごとの学習課題も取り組みやすいものとなるように工夫を凝らした。負担感を軽減し、達成感を獲得しながら、書き慣れていくことを重視したのである。

    • 表現過程に沿って、文章表現技術を取り立てて指導することに重点を置いた単元と、説明文・論説文・手紙文など、さまざまの文章の種類に応じてひとまとまりのものを書き上げることに重点を置いた単元とを、バランスよく配置することにも努めた。「話すこと」に関する単元も同様である。

    • いずれの場合も、主題を明確化し、アウトラインを作り、叙述するということが常に考慮されていなければならないのであるが、毎回必ず作品を完成させなければならないというふうに堅苦しく考えない方がよい。それぞれの単元で何を学ぼうとしているのかを明確にし、指導の重点化をはかることが肝要である。


    (本教科書における表現教材の配列)
    • 話すこと1 聞くこと・話すことの技術 (5時間)
      • 聞くことの重要性を理解する。
      • 心を開いて相手の話を聞く態度を身につける。
        1. 途中で話の腰を折らない
        2. 話し手の眼を見る
        3. 集中して聞く。
      • 話しことばの特性を理解し、簡潔に話せるようにする。
      • 生き生きとした話し方をするために、次の点に工夫する。
        1. 発音
        2. 抑揚
        3. 語句の強調
        4. 話の速さ
        5. 声の調子
      • 話すためのメモをつくり、発表しあう。
        談話「『自分は放浪家』と言っていた」(植村公子)
      • 談話例を読み、順序立てた話し方の工夫を理解する。
      • 談話を読んだ感想を話し合う。

    • 話すこと2 会議・電話 (4時間)
      • 会議の基本原則を理解する。
      • 議事の進行例にしたがって討議を行う。
      • 電話の応対の要領を理解する。
        1. 電話をかける場合
        2. 電話を受ける場合
      • 携帯電話のマナーを理解する。
      • 携帯電話の便利さと問題点について考える。

    • 話すこと3 朗読・スピーチ・ディベート (8時間)
      • よい朗読の条件について理解する。
        1. 場面や登場人物などに対する配慮
        2. 間の取り方
        3. 聴取の性格や数に合った音声の調節
        4. 作品から受けた情感を聴衆とともに分かち合うこと
      • スピーチ原稿・メモの作り方について理解する。
        1. 話す目的と材料とを決定する。
        2. 内容(主題)を明確にする。
        3. 話全体のアウトラインを構成する。
        4. 話の展開のしかたや話し方に気を配る。
      • ディベートの手順と留意点を理解する。
        1. 事前の準備
        2. ディベート
        3. 評価
        4. 事後
      • 実際にディベートを展開する。
        • 文章の構成には二つのタイプがあることを理解する。
        • 素材の収集と整理の工夫を理解する。
        • 書く目的に応じて適切な文体があることを理解する。
        • 魅力ある文章に接し、親しむ
          以下の点に留意しながら書き写し、文章の呼吸を学ぶ。
          1. 語句の使い方
          2. 句読点の打ち方
          3. 文末の結び方
          4. 冒頭の書き出し方
          5. 段落の区切り方
          6. 構成の仕方

    • 書くこと1 構成・文体 (7時間)
      • 文章の構成には二つのタイプがあることを理解する。
        1. 序論・本論・結論の三段型
        2. 起・承・転・結の四段型
      • 素材の収集と整理の工夫を理解する。
        1. 日ごろから思い浮かんだことをメモする。
        2. 新聞や雑誌をコピーし、感想や意見を書き添えておく。
      • 書く目的に応じて適切な文体があることを理解する。
        1. 手紙
        2. 説明文
        3. 意見文
        4. 随想文
        5. 感想文
        6. 記録文
        7. 報告文
      • 魅力ある文章に接し、親しむ
        以下の点に留意しながら書き写し、文章の呼吸を学ぶ。
        1. 語句の使い方
        2. 句読点の打ち方
        3. 文末の結び方
        4. 冒頭の書き出し方
        5. 段落の区切り方
        6. 構成の仕方

    • 書くこと2 推敲 (7時間)
      • 一文は短くするのが基本。
      • 主語・述語の文型
        1. 単文
        2. 重文
        3. 複文
      • 主語の省略が可能な場合
        1. 第一人称が主語となる場合
        2. 前文と同じ主語で、繰り返しによってくどくなる場合
      • 比喩にはどんなものがあるか確認する。
        1. 直喩
        2. 隠喩
        3. 擬人法
      • 書き出しを工夫する。
        1. 立松和平「久高祝女」の書き出し
        2. 加藤周一「日本の一九世紀」の書き出し
      • 推敲のチェックポイント十項目に留意する。
      • ワープロ・パソコンによる文章作成の留意点を理解する。

    • 書くこと3 説明文・論説文 (9時間)
      • 説明文を書く上での留意事項を理解する。
      • 論説文の種類
        1. 論説
        2. 評論
      • 論理の展開法を学ぶ。
        1. 材料の配列・順序(時間・空間の順序、演繹法、帰納法、漸層法、既知から未知へ)
        2. アウトラインを作る。
        3. いろいろな種類の段落(導入の段落、主要段落、結びの段落)を設定する。
      • 四〇〇字から八〇〇字程度の文章を書く。
        「コインは円形である」(佐藤信夫)
      • 筆者の着眼の面白さに気づく。
      • 論理展開のしかたを分析する。
      • 教材にヒントを得て説明文を書く。

    • 書くこと4 手紙の書き方・電子メール (7時間)
      • 公的な手紙と私的な手紙
        1. それぞれの役割と特徴
      • 手紙の形式
        1. 前文 書き出し、時候と安否を問うあいさつ
        2. 本文
        3. 末文 終わりのあいさつ、結び、後付け、追伸
      • 手紙を書く時の留意点を理解する。
      • 近況を報告する葉書を書いてみる。
      • 電子メールの利点と問題点を理解する。
      • 手紙と電子メールの違い、長所・短所について話し合う。

    • ◯全般的な学習活動
    • 「表現編」の学習は、「現代文編」等の学習とは性質を異にするものである。即ち、各章の解説によって学習した知識をこの学習において具体的に適用し、実力化するために設けられたものであって、決して補助的、補充的なものではない。むしろ、各章の教科書の解説は、学習における生徒の実践行動をサポートするためのものと位置づけるべきである。「表現編」はあくまでも実践してこそ生きるものであって、単なる知識教材に留まっていては、表現力の向上は望めない。

    • そのためには、例えば次のように学習を活用することも考えられてよい。

      1. 「表現編」の各章の学習を初めに取り上げて学習させ、その間、必要に応じて生徒各自が教科書各章の解説を読んで自分の学習に役立てるようにさせる。
      2. 「現代文編」等の各教材と有機的に結びつけ、単に理解で終わらせることなく、常に表現へ展開させるように工夫する。
      3. 生徒の作った一つの文章を、各章ごとにその章の趣旨に従っては吟味検討しつつ、「書くこと3」に至ってその文章を完成させる。初めに作った文章を最後の章まで何度も取り上げるのである。

《古文編》


  • ◎教科到達目標(学習指導要領)※古文編・漢文編共通
    1. 古典としての古文を読むことによって、我が国の文化と伝統に対する関心を深め、生涯にわたって古典に親しむ態度を育てる。
    2. 日本文化の特質や日本文化と中国文化との関係について考えるとともに、古典への興味・関心を喚起させるために、古典という言語文化を正しく継承し、それを現代に生かす態度を育てる。
    3. 「古文や漢文の調子を味わいながら、音読、朗読、暗唱をする」などの言語活動を通した指導を行う。
    4. 情報化・国際化などの社会の変化に対応するために、目的や意図、相手や立場に応じて、国語を的確に理解し適切に表現する能力の涵養を図るとともに、ものの見方、感じ方、考え方を広くし、古典に親しむことによって人生を豊かにする態度を育てる。
    5. 中学・高校の一貫性と基本的・総合的な科目であることを念頭におきながら、入門期に、(古文編)では「説話」を学び、(漢文編)では「故事・小話」を学んで古典に親しみ、ついで「竹取物語」「和歌・俳諧」「徒然草」、「論語」「漢詩」「十八史略」をそれぞれまとまった形で学習することを目標として、次の諸点に留意した。

      1. 古典としての古文・漢文の学習を通して、ものの見方・感じ方・考え方を広げ豊かにする。
      2. 生徒の実生活を十分に考慮し、親しみのもてる作品を入門期に学ぶ。
      3. 古文・漢文教材間の有機的な連関に注意して学習する。

    (本教科書における古文教材のあり方)
    • 中学・高校の一貫性と基礎的・総合的な科目であることを念頭におきながら、次の諸点に留意し、本教科書における古文作品の教材化を図った。

    • 生徒の実生活を十分に考慮し、親しみのもてる作品を入門期に学ばせるよう努めた。

    • 現代文・古文・漢文の各教材間において、有機的な連関を持たせることとした。

    • 選定する作品は、入門期を除いてなるべく系統的に、かつ細切れにならない程度において、できるだけ多く採択することとした。

    • 自学自習の妨げにならない程度において、適切な注を施すこととした。

    • それぞれの作品がもつ教材の難易に配慮しながら、五単元をもって構成することとした。


  • ◯全般的な学習活動
    • 「古文の世界」
      1. 何度も繰り返し音読し、読みに慣れさせ暗唱できるようにする。
      2. 歴史的仮名遣いに注目し、解説に基づきながら、その主な特徴を把握する。
      3. 現代語にはない古語を指摘し、辞典でそれぞれの意味を調べ、本文に適した意味をとらえる。
      4. 原文の持ち味をなるべく失わないような現代語訳を試みる。
      5. それぞれの作品について、印象の深かった箇所を抜き出す。
    • 『方丈記』
      1. 対句を駆使した流麗な文体を読み味わう。
      2. 筆者鴨長明は、どのようなことを主張したかったのか、考える。
    • 「説話」
      1. 何度も繰り返し音読し、読みに慣れる。
      2. 歴史的仮名遣いに注目し、解説に基づきながら、その主な特徴を把握する。
      3. 現代語にはない古語を指摘し、辞典でそれぞれの意味を調べ、本文に適した意味を捉える。
      4. 会話の応酬やストーリーの展開について整理する目を養い、登場人物の心理や感情を理解する。
      5. それぞれの作品について、印象の深かった箇所を抜き出す。
    • 『竹取物語』
      1. 内容がつかめるような読みの工夫をする。
      2. 「かぐや姫の生ひ立ち」では、その要旨をまとめる。
      3. 「かぐや姫の昇天」では、かぐや姫の心情について論述する。
      4. 特に用言に注意し、その意味ならびに文法的用法(品詞名・基本形・活用の種類・活用形など)を調べる。
      5. この二つの箇所以外の話(特に「かぐや姫の昇天」の後にある「ふじの山」の話など)も調べ、『竹取物語』の全体像とその文学性とを理解する。
    • 「和歌」
      1. 掲載の短歌十七首を暗唱する。
      2. 歌の趣旨をそのまま伝えるような解釈を試みる。
      3. 三大歌集の、それぞれの特色を比較し対照一覧表を作る。
      4. 感銘を受けた歌の鑑賞文を書き、グループごとに話し合う。
    • 「俳諧」
      1. 掲載された十八句の俳句を暗唱する。
      2. それぞれの句について、季語とその季節、切れ字を調べて指摘する。
      3. 三人の俳人について調べ、その句の特色を指摘、比較対照する。
      4. 好きな句を選び出し、その鑑賞・批評文を書く。
    • 『徒然草』
      1. 「つれづれなるままに」(序段)は暗唱してしまうつもりで何回も音読する。
      2. 各段の読解を着実に行い、それぞれの内容を的確に把握する。
      3. 各段の要約をまとめてみる。
      4. 語句の意味を綿密に調べる。
      5. 『徒然草』独特の文体や用語、さらには筆者兼好の人間像を探る。

  • (本教科書における古文教材の内容)
    • 単元 10 古文の世界
      • 高等学校において初めて学ぶ古文として、知らず識らずのうちに慣れ親しめるよう、次の三編を入門期教材として選んだ。

      • まず第一に、鎌倉時代の『古今著聞集』から、母子の情愛の哀切さを素材にした「母子猿」を導入教材として選んだ。次に、日本人の季節感に注目させるべく、平安時代の『枕草子』から二つの文章を取り上げた。前者は「菖蒲」(二三〇段)、後者は「月」(二三二段)という、日本の自然美を見事に描いたものであり、そのまま原文を暗唱させたい名品である。第三に、よく知られる逸話として太田道灌の「山吹の花」を、江戸時代の『常山紀談』から選んだ。そして、入門期のまとめとして『方丈記』の冒頭の文章「ゆく河の流れ」を[参考]として掲載した。

      • これらの作品は、いずれも完成した筆の運びが感じられ、文法的にみても入門期のものとしては安定したものばかりである。

      • なお、教科書では、入門期の手当てとして、文語文と口語文との違いについて、「仮名遣い」「単語」「文法」に関する事項を簡潔に説明したほか、「文語文法」の要点をも、各教材間に配置して、指導の便を図った。

    • 単元 11 説話
      • 不特定の伝承者によって語り伝えられた説話は、事実がいつか奇談化され、それが、また、魅力でもある。小式部の内侍の歌才(『古今著聞集』)、小野篁の広才(『宇治拾遺物語』)に驚嘆させたうえで、芥川龍之介の『竜』『羅生門』の素材となった「竜」(『宇治拾遺物語』)・「羅城門」(『今昔物語集』)からは、登場人物の心理を読みとる楽しみも味わわせたい。

    • 単元 12 竹取物語
      • 現代文で「小説」を学んだ前後を図って、古文においては、わが国の物語の祖である『竹取物語』を学習することにした。その中でも、よく知られた「かぐや姫の生ひ立ち」と「かぐや姫の昇天」の箇所を選定した。前者は、「今は昔」に始まる物語の書き出しから登場人物の紹介のありようなどについて味読することができ、後者においては、物語の伝奇性、ロマンの世界の楽しさに触れることができるものである。また、文法の基礎的な学習は、ぜひここで身につけさせておきたい。

      • この単元では、まず和歌(短歌) を時代順に古いものから取り上げることを意図し、それらは、やがて独立した文学である俳句として構成されることから、ここではその両者を取り上げた。

    • 単元 13 和歌・俳諧
      • まず「万葉」「古今」「新古今」の三大歌集に着目し、各時代の作歌態度やそれぞれの歌集に見られる特色などが十分に理解しやすいものを主眼として、「万葉」から七首、「古今」から五首、同じく「新古今」から五首を選んだ。このような短歌に接した前後に現代短歌を味わうことによって、日本の歌の歴史とその不易な姿がおのずから把握できるのではないかと考えられる。

      • 俳句についても、古いものから順に取り上げて編集した。選択した句数は、芭蕉が七句、蕪村が六句、一茶において五句である。芭蕉の「海暮れて鴨の声ほのかに白し」を最初に置いた理由は、この句を味わうことによって、俳句の持つ平明な清新さにまず触れ、そこに込められている現代にも通じる文学的感覚を生徒にぜひとも理解させたいと思ったからである。

    • 単元 14 徒然草
      • 日本の古典で随筆・随想といえば、入門期で取り上げた『枕草子』『方丈記』とともに『徒然草』が三大随筆として、まず挙げられよう。そこでここでは、筆者兼好の思想や意見に触れると同時に、次の二点を指導上のねらいとしたいと考えている。一つは、短くまとまった随筆の文章を読むことによって、文語に慣れさせ、その意味を十分に把握させたいということ、もう一つは、文語のもつ語感を感得して生徒自身の言語感覚を豊かに育てさせたいということである。『徒然草』の中から、「序段」をはじめ、日本人の季節感を重視したうえで比較的まとまった七つの章段を選定した。


  • 【学習指導計画案】(合計配当時間・26時間)
    • 単元10 古文の世界(4時間)
      • 母子猿(古今著聞集)
      • 菖蒲・月(枕草子)
      • 山吹の花(常山紀談)
      • [参考]ゆく河の流れ(方丈記)
    • 目標と学習活動
      1. 何度も繰り返し音読し、読みに慣れさせ暗唱できるようにする。
      2. 歴史的仮名遣いに注目し、解説に基づきながら、その主な特徴を把握する。
      3. 現代語にはない古語を指摘し、辞典でそれぞれの意味を調べ、本文に適した意味をとらえる。
      4. 原文の持ち味をなるべく失わないような現代語訳を試みる。
      5. それぞれの作品について、印象の深かった箇所を抜き出す。
    • 指導上の留意点
      1. 原文をノートに書き写させて、歴史的仮名遣いの箇所や、意味のわからない語に傍線を施させてみる、といった指導法も考えられる。
      2. 古典文独特の表現(助動詞・係り結び・助詞の省略など)に注目させる。
      3. 各教材においては、特に次の点に重点を置いて着目させ、指導する。
      4. 原文の持ち味をなるべく失わないような現代語訳を試みる。
      5. それぞれの作品について、印象の深かった箇所を抜き出す。
        • 「母子猿」――話の運びとその感動、
        • 「菖蒲・月」――古語のもつ意味と自然のとらえ方、
        • 「山吹の花」――歌に託したおもしろさ、
        • [参考]「ゆく河の流れ」――文章の構成の妙。
    • 単元11 説話(4時間)
      • 大江山の歌(古今著聞集)
      • 小野篁の広才(宇治拾遺物語)
      • 竜(宇治拾遺物語)
      • 羅城門(今昔物語集)
      • 1  説話の文章構成の特徴に気づかせる。
      • 2  「大江山の歌」「小野篁の広才」については、話題の中心となっている登場人物の人物像を把握させる。
      • 3  「竜」「羅城門」については、近代小説の素材となり得た、説話の魅力について指摘させる。
      • 4  「大江山の歌」「小野篁の広才」については、会話文に注目して、その文体の特徴を整理させる。
      • 5  「竜」「羅城門」については、心内文に注目して、その文体の特徴を整理させる。
      • a  それぞれの説話について、伝承者に語り継がせてきた要因はどのような点にあったかを確認させる。
      • b  敬語を用いた会話文が多い説話と、そうでない説話とに分けて、その理由について考察させる。
      • c  陳述の副詞と、それに呼応する助動詞とについて確認し、適切な現代語訳ができるように徹底させる。
      • d  それぞれの説話について話柄の展開を追跡し、図解するなどして整理させる。
      • e  「竜」「羅城門」については、芥川龍之介の小説『竜』『羅生門』との関係について、「学習」に即して確認させる。
    • 12 竹取物語(4時間)
      • かぐや姫の生ひ立ち
      • かぐや姫の昇天
      • 1   内容がつかめるような読みの工夫をする。
        2   「かぐや姫の生ひ立ち」では、その要旨を二〇〇字以内でまとめさせる。
        3   「かぐや姫の昇天」では、かぐや姫の心情について、六〇〇字程度で論述する。
        4   特に用言に注意し、その意味ならびに文法的用法(品詞名・基本形・活用の種類・活用形など)を調べる。
        5   「かぐや姫の昇天」では、特に敬語の用い方に注目する。
        6   『竹取物語』の伝奇性を探る。
        7   この二つの箇所以外の話(特に「かぐや姫の昇天」の後にある「ふじの山」の話など)も調べ、『竹取物語』の全体像とその文学性とを理解する。
        a   注であげてある単語や語句についても、辞典で確認させて、その意味を確実なものとさせる。
        b   伝奇性を探らせる手掛かりとして、「生ひ立ち」では「三」という数字を多用していること、「昇天」では人間と天人とのさまざまな違いに注目させることも有効である。
        c   登場人物の身分や、その時々の動作などを明確に把握させる。
        d   そのことによって、敬語のあり方を理解させる。しかし、入門期でもあるので、ここではあまり詳細に取り扱わないほうがよい。「昇天」にある二通の手紙文によって、集中的に扱うのも一つの方法であろう。
        e   できれば、「五人の貴公子の失敗談」や「ふじの山」など、プリントして紹介したい。
    • 13 和歌・俳諧(6時間―和歌4時間・俳諧2時間)
      • 万葉集――七首
      • 古今和歌集――五首
      • 新古今和歌集――五首
      • 1   掲載の短歌十七首を暗唱する。
        2   歌の趣旨をそのまま伝えるような解釈を試みる。
        3   『万葉集』では――歌語の意味 表現技巧 作者
        4   『古今和歌集』では――句切れ 内容 表現技巧 解釈のための文法的理解 詞書
        5   『新古今和歌集』では――句切れ 内容 歌体の特色 詞書
        6   三大歌集の、それぞれの特色を比較し対照一覧表を作る。
        7   感銘を受けた歌の鑑賞文を書き、グループごとに話し合う。
        a   歌はぜひ暗唱させ、それぞれのリズムを感得させたい。
        b   『万葉集』指導の要点は――万葉時代の語について語義や文法的意味と、それぞれの歌人について調べさせる。
        c   『古今和歌集』指導の要点は――掛詞・縁語・句切れなどの表現技巧と、理知的と称せられる歌の内容とその理由を探究させる。
        d   『新古今和歌集』指導の要点は――詞書に注目させ、その内容の構築ぶりと、句切れ・本歌取り等を手掛かりにして、他の二歌集との違いを探究させる。
        e   文法指導では、主として動詞と助動詞との関係を中心に行うとよい。
      • 芭蕉――七句
      • 蕪村――六句
      • 一茶――五句
      • 1   掲載された十八句の俳句を暗唱する。
        2   それぞれの句について、季語とその季節とを調べる。
        3   それぞれの句について、切れ字を指摘する。
        4   三人の俳人について調べ、その句の特色を指摘、比較対照する。
        5   好きな句を選び出し、その鑑賞・批評文を書く。
        a   季語を調べる際は、現在とその季節感が異なることに注意させることが大切である。
        b   切れ字の働きを具体的な句に従って味わわせる。
        c   鑑賞文の参考として、加藤楸邨・中村草田男・山本健吉・安東次男などの文を紹介してみるのもよい。
        d   好きな句を、色紙に書かせたり、絵に仕上げたり、できれば自由に曲をつけさせたりするような活動を試みるのもおもしろい。
    • 14 徒然草(8時間)
      • つれづれなるままに(序段)
      • 折節の移り変はるこそ(第十九段)
      • 仁和寺にある法師(第五十二段)
      • 大事を思ひたたん人は(第五十九段)
      • 能をつかんとする人(第百五十段)
      • 今日は、そのことをなさんと (第百八十九段)
      • 丹波に出雲といふ所あり (第二百三十六段)
      • 1   「つれづれなるままに」(序段)は、暗唱するまでに何回も音読する。
        2   各段の読解を着実に行い、それぞれの内容を的確に把握する。
        3   各段の要約をまとめてみる。
        4   語句の意味を綿密に調べる。
        5   筆者兼好の人間像を探る。
        6   随筆のおもしろさを味読し、現代文の随筆との違いを比較検討してみる。
        a   各段を要約させるにあたっては、主題または主題らしきものを表している箇所を、まず抜き出させ、それらを検討させる。
        b   語句の辞典的な意味と、文脈上での意味とを考え合わせ、正確な解釈ができるように指導する。
        c   兼好の人間像を探らせるには、人間のとらえ方と人生観 自然観 無常観 自画像などを目標にして、各段の読解を深めてゆくように指導する。
        d   次のような「古語探索ノート」とでもいうべきものを作成させて、古語習得の一助とさせたい。
      • (例)あやし〔形・シク活〕
      • 一【奇し・怪し】
        1. (人間の知力を越えて)神秘的だ。不思議だ。
        2. (普通と違っていて)珍しい。異常と思えるほど優れている。
        3. (道理・礼儀から外れていて)よくない。不都合だ。疑わしい。
      • 二【賤し】
        1. 身分が低い。卑しい。
        2. 見苦しい。みっともない。
      • 一二の二系列があり、二の意味は現代語「あやしい」にはない。したがって、古典読解に必要な知識としては、二に注目する。
      • 〈例文〉六月のころ、あやしき(連体形)家に夕顔の白く見えて、…。(223・13)
      •   この例文の場合は二②の意。

    • ◯全般的な学習活動
      1. 現代語にはない古語について、辞典などで意味を調べ、本文に適した意味を捉える。
      2. 読解を正確に行い、要約し、それぞれの内容を的確に把握する。
      3. 特に印象の深かった作品や箇所について、自分の考えや意見をまとめ、クラスなどで積極的に発表する。
      4. 優れた表現や構成の巧みさを指摘するとともに、登場人物の言動を通して、会話文や話題の展開について整理する目を養い、彼らの心理や感情、考え方を理解してまとめる。
      5. 作者・筆者の叙述目的を指摘し、どのような目的に添って描かれたものか指摘する。
      6. 作者・筆者の、自然観照眼や人間観察・描写の仕方の特色やその優れた点を、本文や文献を参考にして指摘し、彼らの考え方や思想・心情について、自分の意見や考えをまとめ、発表する。
      7. 古典評論と現代の文芸評論について比較検討し、特に印象に残った古典評論について、意見文を書いて発表する。
      8. 既習の古典作品の中から、評論してみたいものを選んで評論文を書き、発表する。

《漢文編》


  • ◎教科到達目標(学習指導要領)
    • 古文編に同じ。
  • ◯全般的な学習活動
    1. 何度も繰り返し音読して、漢文の訓読に慣れるようにする。
    2. 書き下し文を利用して、漢文訓読の原則や送り仮名・返り点などについて理解する。
    3. 漢文訓読の原則、再読文字を始めとする重要単語、主な句法などについて、基礎知識を蓄積してゆく。
    4. 故事成語が生まれた由来を学習して、その一般的な意味を正しく捉える。
    5. 故事成語について関心を持ち、出典や語義について積極的に調べてみる。
    6. 「矛盾・五十歩百歩」など、日常の会話にも出てくるものは、使いこなせるようにする
    7. 格言・成句を用いて短文を作る練習を行い言語生活を豊かにするよう心がける。
    8. 故事成語のうち日常の会話にも出てくるものは、使いこなせるようにする
    9. 五言絶句・七言絶句について、その整然とした表現構成に注意し、正しく訓読して詩の持つ語調とその美しさを感得する。
    10. 絶句では「起承転結」の構成、特に「転」句の特色に注意し、律詩では対句の美しさを味わう。
    11. 律詩では対句の美しさを味わう。
    12. 押韻を確かめる。

  • (本教科書における漢文教材のあり方)
    • 中学・高校の一貫性と基本的・総合的な科目であることを念頭におきながら、次の諸点に留意し、本教材における漢文作品の教材化を図った。
    • 生徒の実生活を配慮し、親しみのもてる作品を学ばせるよう努めた。
    • 現代文・古文・漢文の各教材間において、有機的な連関を持たせることとした。
    • 教材作品は、入門期を除いてなるべく系統的に、かつ細切れにならない程度において、できるだけ多く採択することとした。
    • 自学自習の妨げにならない程度において、適切な注を施すこととした。
    • それぞれの作品がもつ教材の難易に配慮しながら、四つの単元をもって構成することとした。

  • (本教科書における漢文教材の内容)
    • 単元 15 漢文の世界
      • 漢文としての導入単元である。入門期の生徒に適した漢文教材を取り上げると同時に漢文の基本的構造や漢字の知識に習熟することを、ここではねらっている。生徒の生活に密着し、親しみをもって学習できるような教材を選択するというねらいから、故事成句の一つとしてなじみが深く日常の会話にも馗出する「杞憂」「五十歩百歩」「矛盾」を取り上げ、その出典を漢文で読ませることを試みた。また、「推敲」の話を掲げて、詩人の苦心談を掲載し、漢文の世界に親しむ一助とした。いずれも短文であり、生徒にも容易に理解される内容である。また、「杞憂」「五十歩百歩」と「矛盾」「推敲」の二つの教材群の間に「漢文の基本的構造と送り仮名・返り点」「訓読上、特に注意すべき文字」の解説を挿入し、入門期に必要な重要事項を取り扱っておいた。

    • 単元 16 論語
      • 中国の生んだ先賢であると同時に、人生の偉大な教師でもある孔子の思想に触れさせるため、『論語』から十四の章句を選び、これを[学問の道]四章、[生活と交遊]五章、[人生省察]五章の項に分類して配列した。学問や生活、あるいは人間そのものを見つめる孔子の見方・考え方が、現代生活にも通ずることを生徒に感得させることをねらいとしている。

    • 単元 17 漢詩
      • 漢詩の黄金時代ともいうべき唐の時代に活躍した九人の詩人による名作十一編を選択、これを「絶句」八編と「律詩」二編と「古詩」一編とに分けて、配列・収録した。九人の詩人のうち、李白・杜甫の作品がそれぞれ二編ずつ採録されている。選定にあたっては、自然描写・心理描写の面ですぐれているもの、中国の自然や中国人の生活感情を如実に表現したもの、日本の古典などにも引用されて広く親しまれているもの、生徒に親しみやすいものを主とした。また、漢詩が日本人の間に広く読まれ、作られてきたことを知らせるために、江戸時代における代表的な漢詩人(草場佩川)の作から一編を選んで〔参考〕に掲げた。学問に対する情熱とその楽しさをうたったものであることにも注目してほしい。

    • 単元 18 十八史略
      • この単元では、「史伝」の代表的部分を学習させるようにした。中国的なスケールの大きいストーリーに触れさせて、これらの作品が持つ特色を理解すると同時に、中国大陸に生きる人々の生きざまをつかみとらせることも目標としている。作品としては、『十八史略』から二箇所、春秋時代と戦国時代を選んだ。いずれも興趣に富み、生徒の活発な学習活動が期待できる教材である。なお、漢文の語法についても、これらの教材の指導によって、その知識と理解を確実にし、合わせて漢文独特の口調にも習熟させると同時に、「管鮑之交」「合従連衡」などの故事成句に関する知識を豊富にすることにも意を用いている。


  • 【学習指導計画案】(合計配当時間・19時間)
    • 単元15 漢文の世界(5時間)
      • 杞憂(列子)
      • 五十歩百歩(孟子)
      • 矛盾(韓非子)
      • 推敲(唐詩紀事)
    • 目標と学習活動
      1. 何度も繰り返し音読させて、漢文の訓読に慣れさせるようにする。
      2. 解説に基づいて、漢文訓読の原則や送り仮名・返り点などについて理解させる。
      3. 教材ごとに、それぞれの要旨を発表させ、自己の経験と関連づけて、感想を述べさせる。
      4. 格言や故事について関心を持たせ、それらの出典や語義について積極的に学習する意欲を引き出させるようにする。
      5. 格言・成句を用いて短文を作る練習を行い、言語生活を豊かにさせるように心がける。
    • 指導上の留意点
      a   「杞憂」「五十歩百歩」については、それぞれの直後に掲げた書き下し文を参照させながら、訓読に漸次慣れさせていく。
      b   返り点は生徒がもっとも理解しにくいものであるから、これを正確にたどれるよう、実例に即して反復練習させることが必要である。
      c   書き下し文で仮名書きに改める特定の文字(不・之・也など)については、特に注意を喚起させる。

    • 単元16 論語(4時間)
      • 〔学問の道〕四章
      • 〔生活と交遊〕五章
      • 〔人生省察〕五章
      • 1   漢文の訓読に慣れ、句法を正しく理解させるように徹底指導するとともに、各章句の要旨を的確にとらえさせる。
        2   孔子の学問・人生に対する態度、特にその厳しさに着目させ、生徒の日常の学習や生活態度とも合わせ考えさせる。
        3   孔子の学問観・教育観・人間観・人生観というふうに分けて、グループごとにこれを探究させ、発表させる。
        4   それぞれの教材について、正しく現代語訳できるようにする。そのために、語句の意味を漢和辞典などによって十分調べさせておく。
        a   白文をノートなどに書かせ、いくつかの章句について、送り仮名・返り点を付けさせてみることも大切である。
        b   できるだけ暗誦できるように指導するとともに、かつて行われた「素読」などの学習法に触れてみることも試みたい。
        c   人間としての孔子像を読み取らせて、古典にみられる先人のことばが、現代にも生きていることに気づかせることが大切である。
        d   反語・疑問・詠嘆などの実例を本文から抜き出して整理させ、漢文の句法について、さらに習熟させるようにしたい。

    • 単元17 漢詩(6時間)
      • 〔絶句〕
        • 春暁(孟浩然)
        • 絶句(杜甫)
        • 江雪(柳宗元)
        • 江南春(杜牧)
        • 送元二使安西(王維)
        • 黄鶴楼送孟浩然之広陵(李白)
        • 秋思(張籍)
        • 除夜作(高適)
      • 〔律詩〕
        • 春望(杜甫)
        • 香炉峰下新卜山居、草堂初成、偶題東壁(白居易)
      • 〔古詩〕
        • 子夜呉歌(李白)
      • 〔参考〕
        • 山行示同志(草場佩川)
      • 1   五言絶句・七言絶句について、その整然とした表現構成に注目させ、正しく訓読して詩の持つ語調とその美しさを感得させる。
        2   五言絶句三首の着眼点は次の通りである。
        1. 春暁――春の朝の豊かな感じとその景のたくみな表現。
        2. 絶句――惜春の情と望郷の思い。
        3. 江雪――雪景と一漁翁の高雅な情景。
        3   孔子の学問観・教育観・人間観・人生観というふうに分けて、グループごとにこれを探究させ、発表させる。
        1. 江南春――江南地方の春景色に流れる詩情。
        2. 送元二使安西―― 塞(砦)外の地に行く友そく とりでを送る情。
        3. 黄鶴楼送孟浩然之広陵――長江を下る友人に対する惜別の思い。
        4. 秋思――秋風にかりたてられた望郷の念。
        5. 除夜作――旅中、大鏝日の夜の感慨。
        4   それぞれの教材について、正しく現代語訳できるようにする。そのために、語句の意味を漢和辞典などによって十分調べさせておく。
        1. 春望――戦乱による破壊と家族別離の嘆き。
        2. 香炉峰下……――草堂に悠々自適する心境。
        5   五言古詩の代表的なもの一首を通じて、古体詩の概要を理解させる。
        1. 子夜呉歌――遠征に出ている夫の帰りを待ちわびる妻の嘆き。
        6   日本の漢詩(七言絶句一首)について鑑賞し、勉学の喜びや方法についても触れさせる。
        1. 山行示同志――登山を勉学にたとえた巧みさ。
        a   それぞれの詩について、繰り返し訓読させ、情景をふまえた的確な現代語訳ができるようにする。
        b   自然描写・心理描写の巧みな箇所について具体的に指摘できるよう、指名発表などの方法によって指導する。
        c   「春暁」では「知多少」の読み方と意味とについて、特に注意をうながす。
        d   「江南春」では、特に「四百八十寺」の読みに注意させる。
        e   安西・渭城・陽関などの地名を地図で確かめさせることは、塞外に友人を送る作者王維の心情を理解する上で大切である。
        f   地図によって、黄鶴楼の在った位置と広陵(揚州)を確かめ、長江の持つ詩情を感得させる上で役立たせる。
        g   五絶と七絶とを対比しながら、それぞれの形式について法則的事項を一通り説明する(起承転結)。押韻や平仄については、生徒の理解も困難であるから、軽く触れる程度にとどめておく。
        h   五律・七律についても、詩形・きまりなどについて一通りの知識を与えるようにする。この場合、絶句と比較しながら進めることは当然である。
        i   古体詩が近体詩に比べてきまりにとらわれないものであることを理解させる。五古・七古は唐代以後も作られていることに触れる。
        j   日本漢詩については、特に読書の楽しみ、同学への親しみについて触れておきたい。

    • 単元 18 十八史略
      • 管鮑之交(十八史略)
      • 〔参考〕貧交行(杜甫)
      • 蘇秦・張儀(十八史略)
      • 1   送り仮名・返り点に従って、全文を正しく訓読できるようにさせる。
        2   春秋・戦国時代から秦・漢に至る中国史の概要について、生徒のもっている知識を確実にさせておくことは、導入段階での必要な配慮である。
        3   「管鮑之交」「合従連衡」などの故事成句について、その由来を学び、意味を理解させる。
        4   訓読や通釈を自主的に試みるような態度を養い、辞書を積極的に活用するよう指導する。
        a   〔参考〕にあげた杜甫の「貧交行」を通じて、「管鮑之交」が後世に与えた影響について考えさせる。
        b   疑問形・抑揚形・反語形・受身形などの重要句形をしっかり把握させる。例えば、
        何前倨而後恭也。(268・9)、況衆人乎。(269・3)、豈能佩二六国相印一乎。(269 ・4)、為二楚相所辱。(269・7)などによって指導する。

※以下、各編・単元共通事項

◎学習内容(単元・教材名)

  • 学期 1(4~7月)・2(9~12月)・3(1~2月)
  • 単位・時数 4単位・140時間
    • 現代文編(9単元・50時間)
    • 古文編(5単元・26時間)
    • 漢文編(4単元・19時間)
    • 表現編(7単元・45時間)

◎評価ポイント(観点・重点)

  • 評価規準(方法)A(学習者の能力)
    1. 関心・意欲・態度
    2. 思考力・判断力
    3. 資料活用の技能・表現力
    4. 知識・理解
  • 学習進度確認小テスト(月毎)
  • 中間考査・期末考査等の結果

◎学習活動

  • 現代文の授業は、朗読テープやスライドなど視覚・聴覚的側面を補強したり、野外学習なども取り入れて、学習者の興味・関心を持続させるような工夫を様々に凝らされたい。

  • 古典の授業は、教授者の一方通行になりがちであり、朗読テープやスライドなど視覚・聴覚的側面を補強して、その弊を軽減すると同時に、学習者の興味・関心が持続するような工夫を様々に凝らされたい。

  • 朗読・話し合い・感想文・課題レポート提出等の言語活動を積極的に行う。

  • インターネットも参考資料の検索など、適宜活用する。

  • 図書資料の活用(学校図書室の利用)。

  • 視聴覚教材(スライドなど)の活用(視聴覚室の利用)。

  • ※回数、学期・月などは、学校個々の事情に合わせて、適宜お書き込み願います。

◎学習方法

  • 教科書はもちろん、副教材・視聴覚教材等を活用し、さらにはインターネット検索や学校図書館の図書資料等の活用して、積極的に学習する。

◎学習上の留意点(生徒への注意事項)

  • 授業では必要に応じて板書やプリント等を配布するので、それらを活用するためにも、なるべく科目ごとのノートやファイルとじ等を用意すること。
  • 古典学習においては、言語的・視聴覚的な感覚が特に要求されるので、常に学習の各場面で、古語辞典・図表便覧等を携行、参照するよう心がけること。
  • レポート提出や発表においては、自分の考え・意見をまとめ、それが表現できるよう心がけて学習する。なお、レポートの課題や参考資料等について相談等あれば、教科担当者に尋ねること。
  • 学校行事や長期休暇などがあるので、授業進度や考査範囲などについては、教科主任(責任者)を中心に見直しを行い、その都度知らせるので、注意すること。

◎評価方法について

  • 授業への取り組み、レポート、定期考査等を中心に上記評価基準Aの観点によって、総合的に評価する。
  • 作品は互いに関連し影響しあっている側面が強いので、その関係に留意して学習する。また、学習の評価は、定期考査に加え、レポートへの取り組み姿勢や朗読・課題発表等に対しても行う。特に、自分なりの考えをまとめ、それをまとめたり書いたりして、積極的に発表できるかなどを、総合的に勘案して判断する。

《現代文編》
学期 時数 単元名 教材名 評基A
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
一 未知への探求
 
二 小説(一)
 
三 随想・評論(一)
 
四 詩歌
 
 
五 随想・評論(二)
 
六 短歌・俳句
 
 
 
七 小説(二)
 
八 随想・評論(三)
 
九 これからの日本語
 
神秘
汝みずからを笑え
羅生門
鹿踊りのはじまり
みえないものを大事にする
ミロのヴィーナス
千鳥と遊ぶ智恵子(言語活動教材)
夏の終り(言語活動教材)
[参考]彼岸への祈り
文明の電源
文学のふるさと
短歌十六首
[参考]魅力ある歌と出会う
俳句十六句
[参考]近代の名句
清兵衛と瓢箪
最後の一羽
幽霊の正体
自己基準と他者基準
日本語
国際的日本語のマナー
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《表現編》(45時間)
学期 時数 単元名 教材名 評基A
話すこと1
 
話すこと2
話すこと3
書くこと1
書くこと2
書くこと3
書くこと4
聞くこと・話すことの技術
「『自分は放浪家』と言っていた」(参考)「『冒険』とは」
会議・電話
朗読・スピーチ・ディベート
構成・文体
推敲
説明文・論説文「コインは円形である」
手紙の書き方・電子メール
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《古文編》
学期 時数 単元名 教材名 評基A
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
古文の世界
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
十一 説話
   
   
   
十二 竹取物語
   
十三 和歌・俳諧
   
   
   
十四 徒然草
   
   
   
   
   
   
母子猿
●仮名遣いの違い
●単語の違い
菖蒲・月
●文法の違い
●ことばの種類
●活用と活用形
山吹の花
●用言の活用の種類
●敬語
●助動詞・助詞
●係り結びの法則
[参考]ゆく河の流れ
大江山の歌
小野篁の広才
羅城門
かぐや姫の生ひ立ち
かぐや姫の昇天
万葉集
古今和歌集
新古今和歌集
芭蕉・蕪村・一茶
つれづれなるままに
折節の移り変はるこそ
仁和寺にある法師
大事を思ひたたん人は
能をつかんとする人
今日は、そのことをなさんと
丹波に出雲といふ所あり
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《漢文編》
学期 時数 単元名 教材名 評基A
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
十五 漢文の世界
   
   
   
   
   
十六 論語
   
   
十七 漢詩
   
   
   
   
   
   
   
十八 十八史略
   
   
杞憂
五十歩百歩
一 漢文の基本的構造と送り仮名・返り点
矛盾
推敲
二 訓読上、特に注意すべき文字
【学問の道】
【生活と交遊】
【人生省察】
【絶句】 春暁 絶句 江雪
江南春 送元二使安西
黄鶴楼送孟浩然之広陵
秋思 除夜作
【律詩】 春望 香炉峰下新卜山居、
草堂初成、偶題東壁
【古詩】 子夜呉歌
[参考] 山行示同志
管鮑之交
[参考]貧交行
蘇秦・張儀
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●付録  
一 動詞活用表
二 形容詞・形容動詞活用表
三 古語敬語動詞
四 古語 助動詞活用表
五 古語助詞一覧表
六 原稿用紙の使い方
七 五十音図、月の異名、 時刻・方位・十ニ支
八 漢文関係年表 
九 日本文学関係年表(古典編・近代編)
十 常用漢字表
(表見返し)旧国名・都道府県名対照地図
(裏見返し)便箋の使い方 封筒の表書き 封筒の裏書き 京都付近図・漢文関係地図
カラー口絵 9葉